ロングコビッド(新型コロナ後遺症)の概要と対策を解説~つらい症状が長引く
その他ロングコビッドとは「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状」のことであり、新型コロナウイルス感染症の後遺症と考えられています。
新型コロナウイルス感染症のことをCOVID-19といい、その後遺症が長引くことからロングコビッドと名づけられました。
新型コロナウイルス感染症が治っても引き続きロングコビッドに悩まされる方は多く存在します。
ロングコビッドの概要とその対策について解説します。
参照:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊、罹患後症状のマネジメント(厚生労働省)
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A(厚生労働省)
ロングコビッドとは
厚生労働省はロングコビッドを次のように定義しています。
■ロングコビッドの定義
新型コロナウイルスに罹患した人にみられ、少なくとも2カ月以上持続し、また、ほかの疾患による症状として説明がつかないもの。通常は新型コロナウイルス感染症の発症から3カ月経った時点にもみられる。
患者さんによっては、数カ月間も症状に苦しめられることになります。
症状は多岐にわたる
ロングコビッドの症状には次のようなものがあります。
疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害、筋力低下など
苦しさや痛みだけでなく、集中力の低下や抑うつといったメンタルに支障を来す症状もあります。
症状の出方もさまざま
ロングコビッドの症状の出方は1つではありません。
例えば、新型コロナウイルス感染症の症状から続くこともありますし、新型コロナウイルス感染症の症状が落ち着いて体調が回復したあとにロングコビッドの症状が出てくる場合もあります。さらに症状が消えたあとに再び症状が出てくることもあります。
珍しい病気(症状)ではない
ロングコビッドの症状やそれに似た症状は、新型コロナウイルス感染症の診断・発症・入院後2カ月を経過した患者さんや、退院・回復後1カ月を経過した患者さんの72.5%に出ています。
したがってロングコビッドは珍しい病気(症状)ではない、といえるでしょう。
わからないことが多く対処療法しかない
ロングコビッドが問題になるのは、症状がつらくてしつこいだけでなく、治療の難しさもあります。ロングコビッドについては不明な点が多く、そのため根治を目指す治療法が確立されていません。厚生労働省は「各症状に応じた対症療法が行われる」と説明しています。
待つしかない?
対症療法は通常、症状を抑えることを目標にします。それではロングコビッドが治らないのかというとそうではなく、多くの場合、時間の経過とともに症状が改善していきます。
つまり対処療法を受けながら治るのを待つしかない、となりそうです。
ロングコビッドは感染しない~通常の受診でOK
ロングコビッドは新型コロナウイルス感染症が治ったあとに発症するため、ロングコビッドが感染することはありません。
ちなみに新型コロナウイルスの潜伏期間は、新型コロナウイルス感染症の症状が発生する2日前から、発症後7~10日です。
したがってロングコビッドに移行しているのであれば、医療機関を受診するときは通常の方法で問題ありません。
かかりつけ医や近くのクリニックに受診を
ロングコビッドの対処療法のほとんどは、かかりつけ医や近くのクリニックでも提供できます。
したがって「ロングコビッドかもしれない」と感じたら、まずは身近な医療機関に相談してみてください。
また、かかりつけ医を持っていない人は、お住まいの自治体や保健所に問い合わせることでロングコビッド治療に対応している医療機関をみつけられるかもしれません。
「この体調不良」はロングコビッドなのか
ロングコビッドは、1)新型コロナウイルスに罹患したあとに発症する、2)ほかの疾患による症状として説明がつかないものなので、患者さん本人ではロングコビッドによる体調不良なのか、それとも別の病気が引き起こしているのか、といったことは判断がしにくいのかもしれません。
そのため新型コロナウイルス感染症を発症した方が、そのあとで不快な症状に見舞われたら、ロングコビッドかどうかを判定するためにも医療機関を受診したほうがよいでしょう。我慢しないようにしてください。
心不全や脳炎かもしれない
ロングコビッドであれば時間の経過とともに治ることが多いのですが、それ以外の病気が隠れている場合は時間が経っても治らないどころか、放置していると悪化してしまうでしょう。
ロングコビッドと似た症状を出す病気のなかで深刻なものは、心不全や脳炎です。
患者さんがロングコビッドを疑った時点で医療機関を受診すれば、「ロングコビッドである=心不全や脳炎ではない」ことがわかるかもしれません。
まとめ~安心したいのにできない恐さ
記事の内容を箇条書きでまとめます。
・ロングコビッドは新型コロナ後遺症のこと
・数カ月間悩まされることもある
・症状は苦しさや痛みだけでなく、メンタル面に支障が出ることもある
・原因不明で根治を目指す治療法が確立されてなく、対処療法となる
・通常は時間の経過とともに改善する
・感染しないので通常の方法でかかりつけ医に受診を
・「心不全や脳炎ではない」ことを確かめるためにも受診がおすすめ
新型コロナウイルス感染症が治ったと思って安心したあとにロングコビッドに襲われることもあります。数カ月は油断せず、疑わしいときは我慢せず医療機関を受診するようにしてください。