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幹細胞培養上清液の効果をエビデンスとともに紹介します

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美容や医療の領域で幹細胞培養上清液という液体が注目を集めています。

インターネットで「幹細胞培養上清液」を検索すると、肌のシワやたるみを改善する、細胞を若返らせる、といった効果が喧伝されていますが、実際のところどうなのでしょうか。

エビデンスを示しながら、幹細胞培養上清液の効果を紹介します。

幹細胞を培養するときに使った上澄み液のこと

幹細胞培養上清液の効果を解説する前に、そもそもこれがどのような液体なのか紹介します。「幹細胞」と「培養」と「上清液」の3つに分解できるのでひとつずつみていきましょう。

まず幹細胞ですが、これは生命活動の維持に必要な身体の細胞を供給する細胞のことで、より正確には「さまざまな細胞系列へと運命づけられ、成熟して最終的に機能する細胞へと分化する、自己複製能と分化能を持った未分化細胞」と定義されます。

例えば、小腸の表面にある上皮細胞は1、2日で死滅して新しい上皮細胞に置き換わるのですが、これを生み出しているのが幹細胞です。また、肺の細胞は8日程度で入れ替わり、肝臓の細胞は半年程度で入れ替わるのですが、これらも幹細胞が作っています。

幹細胞は、自分のコピーを作る「自己複製能」と、自分とは異なる細胞に変化できる「分化能」という特徴的な2つの能力を持った細胞です。

次に培養ですが、これは細胞を増やす作業のことです。そして上清液とは幹細胞を培養した培養液から幹細胞を取り出して作られた上澄み液のことです。

幹細胞培養上清液には、何百種類という成長因子が豊富に含まれており、多くの美容・健康効力が期待できます、幹細胞から滲み出した成分なら人の健康にプラスになるのではないか、と考え、幹細胞培養上清液が治療等に使われるようになりました。

参照:ES細胞とiPS細胞:幹細胞のあれこれ | 生物学科 | 東邦大学

参照:幹細胞・ES細胞の分化機構の解明と制御法の確率

骨の形成と増強にプラスになる

京都大学大学院医学研究科の骨再生医療に関わる研究チームは、幹細胞培養上清液が、骨の形成と骨の増強にプラスに働くことを明らかにしました。

参照:幹細胞由来成長因子を用いた骨造成に関する研究

参照:【研究者データ】池野正幸 | 日本の研究.com

成長因子が存在し、粉末にしても効果があることがわかった

研究チームはまず、幹細胞培養上清液に成長因子が含まれていることを突き止めました。成長因子とは、人の成長や発育を促進するホルモンや細胞や組織を増やすタンパク質などのことで、これらが含まれている幹細胞培養上清液は健康にプラス作用することが期待できます。

そのうえで研究チームはウサギを使った実験で、幹細胞培養上清液に骨の形成・増強効果があることを証明しました。

さらに幹細胞培養上清液を冷凍乾燥させてつくった粉末でも、同様の効果を確認しました。

研究チームは「生細胞を含まない幹細胞由来成分のみを用いて骨再生医療が実現できる可能性がみいだされた」としています。

参照:動物の成長や発達を促進するホルモン「インスリン様成長因子」の受容体には、長時間かけて作用を誘導する仕組みが内蔵されている | 東京大学大学院農学生命科学研究科

参照:細胞シグナルを精密に制御する、スマートな人工細胞増殖因子の開発に成功―低副作用の再生医療の実現に貢献する分子技術― | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構

安全、簡便、低コスト

幹細胞培養上清液には生の細胞が含まれないので安全性が高いといえます。また冷凍乾燥して粉末にしても効果が持続することや、幹細胞由来のタンパク質だけを使っていることから、簡便かつ低コストで利用できます。

健康効果があっても安全性が確保されない成分は使えません。また、開発や製造が煩雑になったり、コスト高になったりしたら普及しないでしょう。

そういった意味では、安全、簡便、低コストで効果が期待できる幹細胞培養上清液は、将来有望な健康成分とみなすことができそうです。

治すことが難しい病気の治療法を確立するために

自治医科大の腫瘍病理学の研究者は、難治性疾患の治療に幹細胞培養上清液を活用しようと考えています。

参照:幹細胞培養上清の浄化濃縮法の開発と再生医療への応用

細胞の増殖、新しい血管、化学反応の促進に関わる

幹細胞は再生医療の領域で研究が進んでいますが、この研究者は幹細胞が分泌する物質に注目しました。幹細胞が分泌する物質なら、幹細胞培養上清液にそれが含まれているはずです。

幹細胞培養上清液には増殖因子、血管新生因子、酵素が含まれていることがわかっています。

増殖因子とは、先ほど紹介した成長因子の別名で、細胞や組織、器官などの数、重量、体積を増やす機能を持つ物質のことです。

血管新生因子とは血管を新たにつくり出す物質のことで、動脈硬化などの血管の病気の治療に関与しています(*10)。

酵素とは、消化、吸収、代謝などの化学反応を促進する物質のことで、主にタンパク質で構成されています。

増殖因子、血管新生因子、酵素はすべて健康の維持・増進に欠かせない物質といえ、それでこの研究者は、これらを豊富に含む幹細胞培養上清液に難治性疾患を治す力が備わっているのではないか、と考えているのです。

なおこの研究者は、幹細胞培養上清液から老廃物などの余分な成分を除去する浄化に取り組んでいます。有害物質を取り除くことで有用因子濃縮された幹細胞培養上清液ができあがり、治療効果が上がると期待しています。

参照:特集「血管新生」 血管新生因子VEGF

まとめ~セントラルメディカルクラブ世田谷では0次予防に活用しています

幹細胞培養上清液の健康効果にはエビデンスがあることを紹介しました。

記事の内容を箇条書きでまとめます。

・幹細胞培養上清液には、骨の形成と増強に効果が期待される
・幹細胞培養上清液には成長因子が含まれている
・幹細胞培養上清液を使った治療は安全、簡便、低コストというメリットがある
・難治性疾患の治療に幹細胞培養上清液を活用する研究が進んでいる
・幹細胞培養上清液には増殖因子(成長因子)、血管新生因子、酵素が含まれていて、いずれも健康の維持・増進にプラスに作用すると考えられる

幹細胞培養上清液を使った治療や健康増進への取り組みはすでに実用化されており、セントラルメディカルクラブ世田谷でも患者さんや会員の皆さまなどに提供しています。

セントラルメディカルクラブ世田谷では0次予防プログラムのなかで、幹細胞培養上清液に注視し、積極的に活用しています。

関連記事:0次予防がなぜ必要なのか 例を紹介しながら解説

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