介護予防はなぜ必要? 取り組み事例と私たちができること
健康長寿個人が意識することなく、自然と健康的な生活を送れる環境をつくる取り組みを「0次予防」といいます。「健康寿命を伸ばす」のが大きな目的の1つで、自治体が主体となって実施するケースが多いです。そのため、同じく健康寿命を伸ばして要介護状態の発生を防ぐ「介護予防」においても0次予防の観点を取り入れる余地があると考えられています。そこで本記事では、介護予防の必要性と0次予防の考え方と通じる取り組み事例を紹介します。
介護予防の基本
厚生労働省では、介護予防を以下のように定義しています。
■介護予防とは
要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと
※抜粋:厚生労働省「介護予防について」
要介護状態とは、要介護状態区分(要支援1~2、要介護1~5)に該当する高齢者などを指します。具体的には要支援区分は身体・精神障害によって6カ月に渡って継続して日常生活の「一部」に支障がある状態を指します。要介護者は要支援よりも深刻であり、6カ月に渡って日常生活動作の一部、もしくは全てに介助を必要とする状態です。
つまり、高齢者においては要介護状態になってしまうと、身体も心も充実して過ごすことが困難になってしまうのです。そのため、介護予防を通じて要介護状態になることを防ぐ、もしくは維持するのを国を上げて支援しているのです。
社会保障制度と健康寿命
国を挙げて健康寿命を伸ばす施策を打ち出している大きな理由が「医療費の増大」です。基本的には高齢者の入院、通院、介護費用の多くは手厚い社会保障制度によって支えられています。一方、世界で最も深刻な少子高齢社会となっている日本では、年々、重くなる現役世代の負担も課題となっています。
特に2023年度からは人口の大きな層である団塊の世代が75歳以上になり始め、2025年には全員が後期高齢者となる「2025年問題」が迫っています。その対策の施策の1つとして同年10月1日から「一定以上の所得がある」などの条件に該当する75歳以上の人は、医療費の窓口負担割合が1割から2割に増加されます。つまり、後期高齢者にとっても医療費が増大することが決まっているため、高齢者本人にとってもなるべく医療費がかからない、「健康寿命」の延伸の必要性が高まっているのです。
※出典:厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」
平均寿命と健康寿命の推移
毎年、内閣府が公表している「令和4年版高齢社会白書」によると、2019年時点の男性の平均寿命は81.41歳、女性は87.45歳となっています。一方、健康寿命は男性が72.68歳、女性は75.38歳です。
■平均寿命・健康寿命の差(2019年度)
性別 | 平均寿命 | 健康寿命 | 差 |
男性 | 81.41歳 | 72.6歳 | 8.81歳 |
女性 | 87.45歳 | 75.38歳 | 12.07歳 |
※内閣府「令和4年版高齢社会白書」をもとに作成
健康寿命と平均寿命ともに延び続けているものの、その間隔は大きく縮まっている傾向は見られません。さらに高齢者の増加に伴い、65歳以上の要介護者等の数は増え続けており、2019年度では655.8万人で2009年の469.6万人と比べると約186.2万人も増加しているのです。このような情勢を考慮すると「介護予防」の必要性は、社会的な側面はもちろん、個人にとってもますます高まると予想されます。
0次予防の観点から考える介護予防の取り組み
基本的に介護予防の方法は、要介護状態のきっかけとなる病気や怪我を予防することが「最初の一歩」とされています。そのためには、健康的な生活習慣(運動、食事、人間関係)を意識して行う必要があるでしょう。ただ、一人ひとりが個々で介護予防を意識的に取り組み続けるのは簡単ではありません。そこで自然と「介護予防につながる生活環境」を構築するという0次予防としてのアプローチが注目されているのです。
具体的には自宅をバリアフリー化することが挙げられます。転倒などのリスクの低い住環境をつくるということは、0次予防でもあり、「介護予防」の一つともいえるでしょう。さらにスーパーへの買い物に車ではなく自転車を使ったり、通勤時に歩く距離を増やしたりすることも、自然と運動量を増やし足腰を強くできるため介護予防としても効果が期待できます。
さらに趣味があれば積極的にコミュニティに参加したり、仕事や家族と楽しく会話して「自然につながる環境」をつくることも、自然と認知症の予防につながると考えられます。このように現在の環境を生かした観点で介護予防に取り組むことで、健康寿命を伸ばしてより長く楽しい人生を歩めるのではないでしょうか。
また、体は加齢とともに酸化し、活性酸素は体内で様々な悪影響を及ぼすため病気の90%はこの酸化が原因といわれています。その活性酸素を発生させない取り組みとして、水素サプリメント・免疫系を活性化するCBD・幹細胞上清液があり、これらサプリメントなどの摂取もO次予防につながります。
老後の医療費の負担額を減らすには「人間ドック」も重要
病気の発症を防ぐ0次予防、および1次予防はすべての人が取り組む必要性があります。ただ、どれだけ予防したとしても病気の発症を100%防ぐことはできません。そのため、なるべく早く病気を見つけて治療する「早期発見・早期治療」に重要な2次予防にも取り組む必要があります。
特に年齢を重ねるうちにさまざまな病気の発症リスクが高まるため、健康診断だけでなく、より詳しく検査できる「人間ドック」の活用も検討しましょう。セントラルメディカルクラブ(CMC)は、宇都宮と東京(世田谷)で会員の皆さまに向けた高度な医療・検査を提供しています。自身の健康寿命、介護予防に興味をお持ちの方はぜひお問い合わせください。