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尿酸値を解説「なぜ高くなる?」「下げるには?」「基準値は?」「高いとどうなる?」

未病

尿酸値が高くなると痛風になることはよく知られていますが、ではなぜ血中の尿酸が増えてしまうのでしょうか。

そして尿酸値を下げるには、何をすれば良いのでしょうか。

さらに、尿酸値の基準値はどれくらいなのでしょうか。

この記事では、尿酸値に関する「なぜ」について解説していきます。

尿酸は肝臓でつくられる燃えカスのようなもの

尿酸は肝臓でつくられる代謝物のことです。

肝臓にはプリン体という物質が貯蔵されていて、これがエネルギー源になっています。尿酸は、このプリン体が分解されるときにつくられます。

尿酸はなぜ害悪なのか

健康な状態であれば、尿酸ができても、尿と便に含まれて体外に排泄されますので、血中の尿酸値は高くなりません。

しかし、遺伝的要素や生活習慣が原因で尿酸が増えすぎると排泄が追いつかず、体内に尿酸がたまってしまいます(尿酸値が高くなってしまいます)。

これが血液検査などで一定以上の値になると、高尿酸血症と診断されます。

尿酸は、少量のうちは血液中に溶けていて「悪さ」はしませんが、量が増えると結晶化して関節にたまっていきます。これが痛風の原因となるわけです。

したがって尿酸値は、まず高くしないこと、高くなったら減らすこと、そして減らした状態を維持することが大切になります。

尿酸値が高くなるのは食のせいだけではない

尿酸値を高くする最も大きな原因は食事です。尿酸はプリン体からできるので、プリン体を含む食品を摂りすぎないようにしてください。

「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」は、食品100gにプリン体が300mg以上含まれている食品を「プリン体が極めて多い食品」、200~300mgの食品を「プリン体が多い食品」としています。

それらに当てはまるものは次のとおりです(*1*2)。

<プリン体が「極めて多い」または「多い」食品>
・干しシイタケ・豚と牛と鳥のレバー・カツオ・イワシ・アジ・サンマ・エビ・鰹節・煮干し・白子

干しシイタケや鰹節、煮干しが含まれているのは、乾燥すると相対的にプリン体の割合が増えてしまうからです。

アルコールでは、ビールがプリン体の多い飲料として知られていますが、それを上回るのが紹興酒です。

日本酒はプリン体が少なく、それより少ないのがワイン、ウイスキー、ブランデーで、最も少ないのが焼酎です(*3)。

飲食以外に注意したい習慣

飲食以外にも、尿酸値を高める習慣があります。

<尿酸値を高める習慣>
・頻繁に激しい運動をする
・肥満
・水分をあまり摂らない
・血縁者に尿酸値が高い人がいる(遺伝的要因)
・ストレス

運動は一般的に健康によい効果をもたらしますが、激しい運動は尿酸値を高める可能性があります。激しい運動は無酸素運動になりやすく、これが尿酸をつくるきっかけになってしまうからです。

肥満の原因の一つには食べすぎや飲みすぎによって起きることが考えられるため、必然的にプリン体を多く摂ることになってしまいます。

水分を摂らないと尿がつくられず、そのため尿酸を排泄する機会が減り、尿酸が体内にたまりやすくなってしまいます。

そして尿酸値は遺伝的要因やストレスによっても高くなってしまいます。

尿酸値を下げるには、まず食から

尿酸値を下げるには、まずは食習慣を見直しましょう。

先ほど紹介した尿酸値を高くするような食品をなるべく摂らないようにして、アルコールは焼酎をメインにするのがおすすめです。

ただ、プリン体が少ない食品やアルコールでも、プリン体がゼロではないことが多いので、食べすぎは結局、尿酸値を高めることになります。

有酸素運動、ダイエット、水分摂取、ストレス解消

食生活を改善できたら、尿酸値を高める生活習慣をひとつずつあらためていきます。

健康のための運動は、水泳やウォーキングといった有酸素運動を取り入れましょう。

有酸素運動には、無酸素運動と違って尿酸値の上昇を抑えることができ、さらにダイエット効果も期待できます。

健康診断などで尿酸値が高いと指摘され、なおかつ普段からあまり水分を摂取しない人方は、意識して水やお茶を飲むようにしてみてください。

そして、ストレス解消も尿酸値の低下につながるので意識してみてください。

腎臓を労(いたわ)って

体内の尿酸を尿として体外に排出するための臓器である腎臓が弱ってくると、暴飲暴食をしていなくても尿酸値が高くなることがあります。

腎臓の健康を維持したり、腎臓の負担を減らしたりするには、次の習慣が有効です。

<腎臓によい習慣>
・肥満を解消する
・血圧を上げない
・血糖値を下げる
・中性脂肪、悪玉コレステロールの値を下げる

肥満解消は、ダイレクトに尿酸値の低下につながるだけでなく、「肥満解消→腎臓への負担減→尿酸値の低下」といったように間接的な効果も期待できます。

そして、血圧は心臓や血管に関わり、血糖値は膵臓に関わります。つまり、尿酸値を下げるには、腎臓だけでなく、心臓、血管、膵臓の健康も維持していくことで効果が得られます。

尿酸値の基準値は「7」これよりも低くしよう

公益財団法人痛風・尿酸財団によると、尿酸値の基準値は7.0mg/dLとされています(*4)。

この数値を下回ることを目指しましょう。

尿酸は、血液1dL当たり7.0mgまでなら、血液に溶けた状態にあります。しかしこの数値を上回ると尿酸が結晶化して関節にたまり痛風につながってしまいます。

痛風とは

尿酸値が高い状態を高尿酸血症といい、これが痛風の前段階となります。しかし痛風の一般的な症状である足先の激痛は、突然起きます。

徐々に痛くなるのであれば、生活習慣をあらためようというモチベーションが高まりますが、高尿酸血症と診断されてもしばらくはなんの症状も起きません。そのため、医師から「尿酸値が高いので注意してください」と言われても、なかなか生活習慣をあらためられない人がいます。

なぜ激痛が走るのか

関節にたまった尿酸の結晶は、運動などによって剥がれて関節液のなかに入ります。

すると免疫機能が働いて、白血球がそれを外敵とみなして攻撃を始めます。白血球が尿酸の結晶を攻撃すると炎症が起き、これが痛みの原因になります。

それでも痛風を悪化させてしまう理由

痛風を発症しても治療に取りかからない人がいます。

それは痛風の痛みが1週間ほどで消えてしまうからです。なんとか頑張って痛みに耐えてしまうと、それまでの苦しさが嘘のように痛みがなくなります。

それで「治った」「もう大丈夫」と勘違いしてしまうのです。

しかし、尿酸値が高い状況を改善しなければ痛風を治すことはできませんので、いつか再び激痛に襲われることになります。

痛風を放置するとどうなるのか

健康診断で尿酸値が高いことがわかったら、その時点で生活習慣を改善したほうがよいのですが、それができず痛風を発症してしまったら(激痛が走ったら)、そのときこそ我慢せずに医療機関にかかるようにしてください。

痛風は薬である程度コントロールすることができます。

もし痛風を放置してしまうと、激痛が起きる頻度が高くなり関節が腫れてしまいます。さらに、腎臓の機能が低下したり、尿路結石ができたりと、別の病気に進んでしまいます。

まとめ~尿酸値は健康のバロメーター

尿酸値も健康のバロメーターの1つといえます。なぜなら、高い尿酸値の背景には、食生活の乱れや肥満、臓器の異常などがあるからです。

健康診断で尿酸値が高いと指摘されたら、ぜひ、その改善に取り組むようにしてください。痛風を予防できるだけでなく、それが心臓や腎臓といった重要臓器を守ることにもつながるからです。

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