健康投資で健康寿命を延ばす!人生100年時代の投資のあり方を考える
健康長寿近年、スポーツジムでのトレーニング、ヨガ、糖質制限ダイエット、健康食品やサプリの利用など、人々の健康への意識が高まっています。これら病気の予防を目的としたさまざまな方法は「健康投資」と呼ばれます。投資という言葉からは、お金を増やすための投資や資産運用に関心が向けられがちですが、「健康投資」こそ、人生100年時代に必要な投資ではないでしょうか。この記事では、人生を健康で楽しく生きるために有効な健康投資について解説します。
日本人の平均寿命と健康寿命
厚生労働省の「簡易生命表」によると、令和元年は男性の平均寿命が81.41歳、女性は87.45歳で、どちらも過去最高を更新しています。ただし、発表されている平均寿命は、その年に亡くなった人の平均年齢ではなく、同年に生まれた0歳児が今後何年生きるかを推計したものとのことです。
また、ここ数年は「健康寿命」も上昇傾向にあるようです。健康寿命とは、介護など人の助けを借りずに自力で日常生活の動作ができ、健康的な日々を送ることができる期間をさします。「寿命が単に長ければ健康ということか?」という議論が上がったことで、健康寿命という新しい概念が生まれたわけです。
超高齢社会を迎える日本では、寿命は延び続け、人生90年にもう手が届こうとしています。そのため、健康寿命が平均寿命よりも延びていかなければ、日常生活が制限される期間が拡大し、介護をする家族の負担も増してきます。医療費をはじめ、介護給付費などの社会保障費の増大による国の財政圧迫も問題視されており、目下は健康寿命を延ばすことが重要な課題といえるでしょう。
医療費は生涯どのくらいかかるか?
人が一生のうちに必要とされる医療費の概算値を「生涯医療費」と呼んでいます。厚生労働省が発表している平成29年度生涯医療費は、推計約2,700万円という高額な数値となっています。とくに80~84歳では約300万円と、各年代の中で最も多額です。
病気は予測できないことが多いため、重い病気にかかると、突然ふりかかってくる高額な医療費は家計に大きな負担となります。また、長期的な入院となると、仕事ができなくなり、キャリアへの影響も深刻です。予期せず大きな病気に罹患すると、突然の高額な資金を捻出しなければならない可能性も出てくるため、ライフプランの見直しが必要なケースもあるでしょう。
セカンドライフを楽しもうと、堅実に貯金をしてきても、資金の多くが医療費に費やされるのは避けたいものです。そのためにも、健康の大切さを認識し、健康寿命を延ばすことが必要です。病気を予防するために、健康投資を始めてみませんか?
先進国の中で日本は健康投資の意識が低い
2019年に経済産業省が発表した「予防・健康づくりの意義と課題」では、先進7ヵ国の健康投資の支出額を比較したところ、日本は6位という低い結果で、その支出額は122USドルで1位のカナダの支出額の1/2以下です。
先進国の中で、国際的水準で見ると、日本人は健康投資の意識がまだまだ低いといえるでしょう。もちろん、国としても、生活習慣病の予防促進、受動喫煙の防止、衛生環境の向上など、健康寿命を長くするためにさまざまな取り組みを行っています。
健康寿命を延ばすことは、国としては医療費抑制の目的もあり、国民にとっては老後を健やかに過ごせることにつながるため、双方に共通の利益といえます。
健康寿命を延ばすために始めたい健康投資
健康寿命を延ばすために、国民一人ひとりができることは、まず病気の予防です。
健康維持には、いうまでもなく、食事のバランス、適度な運動、規則正しい生活が基本となります。食事、運動、規則的な生活はすべて日々の暮らしの中で取り組めることばかりです。豊かで充実した生活を送り続けるために「医者いらず」を目指して、健康維持・促進をさせていきましょう。
歩くことで病気を予防できる
「健康日本21」という国民の健康づくり運動情報サイトでは、習慣的に運動を行い、身体活動量を多くすることで、生活習慣病の予防効果が期待できるとしています。
例えば、週に2,000kcal消費するには、1日あたりおよそ300kcalです。300kcalは身近な運動で考えると、1万歩歩けば消費できます。1万歩歩くのは、体力的に大変と思われるかもしれませんが、厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」の“歩数の平均値”のグラフを見ると、20~64歳男性の1日あたりの平均歩数は7,864 歩ということですので、2,200歩ほど増やせば1万歩に届くことになります。個人のペースにもよりますが、2,200歩歩くのにかかる時間は20分程度です。
日頃からエレベーターを使わず階段を使うなど、少しの工夫で達成できる歩数と考えれば、無理のない目標になるのではないでしょうか。このような日常生活での習慣的な心がけを忘れないことが高齢になっても健康でいられる秘訣になります。
また、自分ひとりで健康状態を把握するのはなかなか難しいので、定期的に検診や人間ドックを受診し、医師の指導を受けるようにしましょう。健診費用が自己負担の場合、費用はかかりますが、専門医からアドバイスを受けることで健康意識が高まり、結果的に病気の予防や医療費の削減につながります。
健康投資は、ある程度の予測できる金銭的負担で、病気のリスクを減らすことができるコスパの高い投資といえます。将来を見据え、早いうちから健康に対して投資を始めましょう。