幹細胞上清液とは?点滴での効果や費用、安全性なども解説

幹細胞上清液点滴は、再生医療の分野で注目されている治療のひとつとして、近年関心を集めています。健康維持やエイジングケアの選択肢として気になっている方も多いのではないでしょうか。
一方で、「どんな成分が含まれているの?」「本当に安全なの?」といった不安や疑問を感じる方も少なくありません。
そこでこの記事では、幹細胞上清液とは何かを説明し、点滴で投与したときの効果や費用、安全性や注意点などについて解説します。
幹細胞上清液とは

幹細胞上清液とは、幹細胞の培養に使用した溶液の上澄みのことです。「幹細胞培養上清液」とも呼ばれます。
そもそも幹細胞とは、幹細胞自身を生み出す「自己複製能」と、さまざまな細胞に変化できる「分化能」を持った細胞です。幹細胞はこの2つの機能により、損傷した組織や失われた機能の回復を目指す再生医療を実現できると考えられていて、細胞培養加工施設において幹細胞の培養増殖が行われています。
培養の培養後、幹細胞を取り出した溶液に不純物ろ過や滅菌処理を行い、医療に使えるようにした製品が幹細胞上清液です。幹細胞上清液には、幹細胞が培養増殖する過程で放出するエクソソーム・サイトカイン・各種の成長因子が含まれていて、これらの成分によって細胞の活性化や修復を助ける効果が期待できるといわれています。
参考:一般社団法人 日本再生医療臨床学会「幹細胞培養上清液について」
幹細胞上清液はどのように投与される?
幹細胞上清液を使用する施術では、大きく分けて「点滴」「点鼻」「局所注射」の3つの方法で投与が行われています。
・点滴による静脈投与
幹細胞上清液を点滴によって少量ずつ静脈投与する方法です。静脈投与をすると幹細胞上清液が全身に行き渡ります。他の方法と比較して投与できる量を多くすることもできて、高い効果を期待できます。
・点鼻薬による投与
幹細胞上清液を点鼻薬として使用し、鼻粘膜から体内へと吸収する方法です。点鼻投与をすると幹細胞上清液の成分が脳血液関門を通過して、脳神経細胞の活性化が期待できるといわれています。針を用いないため、注射に苦手意識や恐怖心がある方も選べる方法です。
・局所注射
幹細胞上清液を特定の部位に注射する方法です。注射する部位によって期待できる効果は異なるものの、基本的に対象部位の細胞の活性化や炎症抑制といった効果が期待できます。対象となる部位としては顔や関節内などが挙げられます。
3つの投与方法はそれぞれメリットが異なります。全身への高い効果を得たい方は「点滴」、局所的な効果を得たい方は「点鼻」「局所注射」を選ぶとよいでしょう。
幹細胞上清液の点滴で期待できる効果

幹細胞上清液を点滴すると、エクソソームやサイトカインなどの成分が全身に届いてさまざまな効果が期待できます。幹細胞上清液が気になっている方は、自分の悩みを解決できる効果があるかどうかをぜひチェックしてください。
以下では幹細胞上清液の点滴投与で期待できる7つの効果を、各効果にかかわる成分の説明を交えて紹介します。
参考:一般社団法人 日本再生医療臨床学会「幹細胞培養上清液について」
抗炎症作用
幹細胞上清液を点滴すると、腫れや痛みを発している部位の炎症反応を抑える「抗炎症作用」が期待できます。皮膚の湿疹や鼻炎、腰痛・肩関節周囲炎・関節リウマチといった炎症の悩みに対処できる効果です。
抗炎症作用があるとされる成分が、サイトカインの一つであるTGF-β(トランスフォーミング増殖因子ベータ)です。TGF-βは免疫応答を調節する抗炎症性サイトカインとして知られていて、過剰な免疫反応や炎症の進行を抑制する働きがあります。
さらに、TGF-βはコラーゲン・エラスチンの産生や細胞分化・増殖の促進にもかかわっている物質です。皮膚のバリア機能を高めたり関節の軟骨・靭帯の弾力性を保ったりする働きで炎症を間接的に防ぐとともに、細胞の増殖を助けることで炎症部位の治癒促進も期待できます。
体表組織の細胞活性化
幹細胞上清液に含まれているPDGF(血小板由来増殖因子)やIGF-1(インスリン様成長因子1)により、体表組織の細胞活性化が期待できます。組織の修復・再生、しわ・くすみの改善、発毛・育毛の促進など、幅広い悩みに対処できる効果です。
PDGFは線維芽細胞・平滑筋細胞・骨細胞の増殖を誘導する増殖因子です。このうち線維芽細胞はコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸といった真皮の構成成分を作り出す細胞であり、増殖を助けることで皮膚の創傷修復や肌の弾力・潤いの保持をしやすくなります。
もう一つのIGF-1は、多くの細胞の増殖・分化を促す成長因子です。IGF-1は乳児期から思春期にかけて分泌量が多く、30代を過ぎると急激に分泌が減る物質であり、老化にもかかわっていると考えられています。幹細胞上清液の点滴によって体内のIGF-1を増やすことで、老化の抑制も期待できるでしょう。
組織や神経の再生をサポート
幹細胞上清液にはTGF-βやPDGFといったサイトカインの他に「エクソソーム」が含まれていて、組織や神経の再生をサポートすると考えられています。
エクソソームとは、細胞が情報伝達を行うときに分泌する細胞外小胞の一種です。直径50~150ナノメートルの内部にタンパク質・核酸・メッセンジャーRNA・マイクロRNAが含まれていて、エクソソームを取り込んだ細胞にこれらの物質が働きかけます。
エクソソームの重要な特徴が、損傷や老化をしている細胞に集まり、細胞の修復を促す働きがあることです。幹細胞上清液によって投与されたエクソソームにも同様の働きがあり、創傷の治癒促進や組織の機能回復につながる効果が期待できます。
免疫機能の調整
幹細胞上清液に含まれている成分中ではTGF-βやエクソソーム、そしてIL-10(インターロイキン10)に免疫機能の調整作用があります。これらの成分によって免疫が過剰に働くのを抑え、炎症による細胞・組織へのダメージを防ぐ効果が期待できます。
IL-10は、T細胞・樹状細胞・マクロファージといったさまざまな免疫細胞から分泌されるサイトカインの一種です。
免疫細胞は細菌やウイルスから身体を守る役割があるものの、過剰に働くと花粉やアレルギー物質に対しても炎症を引き起こします。IL-10は免疫細胞の過剰な反応を抑制して、炎症を起こしにくくする働きがある物質です。
幹細胞上清液の点滴を通じてIL-10・TGF-β・エクソソームを体内に取り込むことで、免疫機能を正常な状態へと調整しやすくなります。花粉症やアレルギー性鼻炎に多い鼻づまりやくしゃみ、アトピー性皮膚炎による皮膚のかゆみ・発赤といった悩みを解消できる効果です。
活性酸素の除去や抗酸化
幹細胞上清液にはaFGF(酸性線維芽細胞増殖因子)という成分が含まれていて、この成分によって体内からの活性酸素の除去や抗酸化作用が期待できます。
aFGFは、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸などを生成する線維芽細胞の増殖・分化を促す増殖因子です。線維芽細胞はSOD(抗酸化酵素)の産生にもかかわっていて、線維芽細胞が増殖することでSODも増えて、体内の活性酸素を除去して老化防止に貢献してくれます。
また、幹細胞上清液中にも抗酸化物質が含まれていて、細胞の酸化を防ぐ効果があるといわれています。細胞の酸化は全身で起こる現象であるため、幹細胞上清液の成分を全身に行き渡らせることができる点滴での投与がおすすめです。
血管の再生や新生をサポート
幹細胞上清液により血管の再生や新生がサポートされ、点滴によって投与することで全身の血管の再生を助ける効果が期待できます。血管の老化や動脈硬化を原因とする病気には脳卒中・心筋梗塞・大動脈瘤などの命にかかわるものが多く、幹細胞上清液はこれらの病気の予防に役立つと考えられています。
幹細胞上清液の成分中で、血管の再生や新生にかかわるものがVEGF(血管内皮細胞増殖因子)です。VEGFは、血管の内壁を覆っている血管内皮細胞の増殖を促す物質であり、体内に投与されることで血管の再生が正常に行われると考えられます。
また、VEGFによって血管が再生・新生すると、血管から周辺組織へと水分や栄養が通りやすくなります。血液中の栄養素が全身に届きやすくなり、肌のハリ・弾力を保つ美容効果や、発毛・育毛効果も期待できるでしょう。
シワ・たるみの予防や改善などの美容作用
幹細胞上清液の成分には細胞の増殖・分化を誘導する数多くの成長因子が含まれていて、皮膚のシワ・たるみの予防や改善といった美容作用を期待できます。
幹細胞上清液の成分中で、美容作用に大きく働くのがEGF(上皮細胞成長因子)です。EGFは、皮膚や臓器の表面を覆っている上皮組織の再生・増殖を促す因子で、肌のターンオーバーや創傷治癒の促進にかかわっています。
他には線維芽細胞の増殖を促すPDGFや、多くの細胞の増殖・分化にかかわるIGF-1、コラーゲン・エラスチンの産生を促進させるTGF-βも美容に効果的な成分です。
幹細胞上清液を点滴すると各種成分が全身に行き渡るため、顔はもちろん、全身の美容にもよい効果をもたらします。
幹細胞上清液の費用相場

幹細胞上清液の投与は自由診療扱いとなっていて、施術にかかる費用は医療機関ごとに違いがあります。
また、使用する幹細胞上清液の種類や投与量によっても幹細胞上清液の費用は変わります。
幹細胞上清液の種類は幹細胞を採取した部位による違いであり、歯髄由来・脂肪由来・臍帯由来の3つが主な種類です。特に臍帯由来の幹細胞は流通量が少なく、歯髄由来・脂肪由来と比べると価格が高く設定されています。
幹細胞上清液の費用相場は、歯髄や脂肪由来の幹細胞上清液点滴は5mlで4~6万円、臍帯由来の幹細胞上清液点滴であれば5mlで8~10万円です。保険適用はできず全額自己負担となります。
幹細胞上清液の投与にかかる費用のほかに、医療機関の初診料・再診料やその他オプション費用が発生する場合もあります。幹細胞上清液のオプションは美容施術の併用や点滴と局所注射の併用、複数回投与のセットなどが代表的です。
提供できる幹細胞上清液の種類や投与方法は、医療機関によって異なる場合があります。医療機関が提供するプランを調べるとともに、定期的に幹細胞上清液の投与を受ける場合は月・年単位でいくらかかるかを計算しておくとよいでしょう。
幹細胞上清液の安全性は大丈夫?

幹細胞上清液に興味があり、「安全性は大丈夫だろうか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
幹細胞上清液は再生医療として比較的新しい手法であり、日本においては薬事承認がされていない未承認医薬品に該当します。製品の品質や投与方法について法律が整備されておらず、医師の責任のもとに投与されています。投与する成分との相性や、個人の体調などによっては以下のような副作用が起こるリスクもあることを留意しておきましょう。
- ●アレルギー反応
- ●発熱・倦怠感
- ●点滴に伴う一般的リスク
(針を刺した場所の内出血など)
そのため、幹細胞上清液の施術を受けたいときは信頼できる医療機関を探し、医師のカウンセリングや施術内容の説明を聞いたうえで判断しましょう。
安全性に注意を払っている医療機関は品質の高い幹細胞上清液を使用していて、患者さんの体質・体調に合わせた施術を提案してくれます。カウンセリングを通じて自分の悩みや疑問を解消できれば、不安なく幹細胞上清液の投与を受けられます。
幹細胞上清液点滴を受ける医療機関の選び方

幹細胞上清液の点滴を受けるときは、安心して施術を任せられる医療機関を選ぶことが大切です。
幹細胞上清液の点滴を扱っているかどうかはもちろん、以下のポイントもチェックして医療機関選びをしましょう。
- ●医師によるカウンセリングを実施しているか
- ●高品質の幹細胞上清液を使用しているか
- ●担当医が幹細胞上清液にかかわる高い技術を持っているか
- ●医療機関に幹細胞上清液投与の実績があるか
- ●アフターケアが充実しているか
特に「医師によるカウンセリング」と「アフターケアの充実」の2つは必ずチェックしてください。患者さまの体調や体質を把握し、施術後の変化にも真摯に対応してくれる医療機関であれば、安心して施術を受けられます。
まとめ

幹細胞上清液は、幹細胞の培養過程で放出されたエクソソーム・サイトカイン・成長因子を含んでいます。期待できる効果には細胞の活性化・再生や免疫機能の調整、抗酸化作用、美容作用などがあり、点滴投与すると全身に成分を行き渡らせることができます。
幹細胞上清液の費用は種類や投与量によって変わるものの、おおむね5万~10万円が相場です。高い効果を得るために複数回受けることもあるので、信頼できる医療機関を選びましょう。
健康維持や予防医療に興味のある方は、セントラルメディカルクラブ世田谷にご相談ください。
当クラブでは、エグゼクティブ向けの人間ドック(主にがん、心疾患、脳疾患に特化した検査)を中心に経営者の健康維持に役立つ会員制の医療サービスを提供しております。
全身をくまなくチェックできる高精度の検査機器を導入し、疾病の予防や早期発見を目指すだけでなく、会員専用通路やフロア、個室のご用意などプライバシー配慮にも万全の体制を整えております。
