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春の体調不良は「春バテ」が原因かも 寒暖差の影響で自律神経に乱れ

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夏バテにくらべて、春バテという言葉にはあまり聞き馴染みがないかもしれません。体調不良の原因として、夏バテほど知られているわけではありません。

しかし、春になるとなんとなく身体がだるくなるような気がする、と感じたら、それは気のせいなどではなく、春バテである可能性が大です。

春は、昼と夜の寒暖差が大きくなり、自律神経が乱れやすくなります。それにより、なんとなく調子が悪い、といった症状が引き起こされやすくなります。

この記事では、春の体調不良、春バテと自律神経の関係について解説します。

春バテの症状

春の体調不良である「春バテ」は、明らかな病気というわけではないのに、春に限って健康上の支障が出る症状のことです。

日本予防医学協会は春バテのことを「春の自律神経の乱れ」と呼んでいて、その症状は以下のとおりです(*1)。

■春の自律神経の乱れによる症状
1)体がだるい
2)倦怠感
3)目覚めが悪い
4)日中の眠気
5)肩こり
6)腰痛
7)めまい、立ちくらみ
8)胸がしめつけられる
9)下痢、便秘
10)風邪でないのに咳が出る
11)気分の落ち込み
12)イライラする
13)やる気が出ない
14)憂うつ感

さまざまな症状が出ることがわかりますが、大まかに次の3つにグループ分けすることができます。

1〜4は、「なんとなく調子が悪い」「すっきりしない」状態といえるでしょう。1日や2日なら、こうした症状は季節に関係なく発生します。しかし自律神経の乱れが原因になっていると、春の数週間、ダラダラと「なんとなく調子が悪い」状態が続きます。

5〜10は、痛みや苦しさをともなう明確な不具合になりますが、長年肩こりや腰痛に悩まされている人でなければ、そのうち回復するだろう、と思ってしまうかもしれません。

11〜14は、精神や心の不具合といえるでしょう。

春バテの原因

春バテの主な原因は、寒暖差が大きくなることによる自律神経の乱れと考えられています(*1)。

そこでまずは、自律神経について解説し、それがなぜ寒暖差によって乱れるのかを紹介します。

神経とは、自律神経とは

神経は、体のすべての臓器や器官や組織の働きを制御する器官です(*2)。神経にはいくつか種類があり、脳内にある神経と脊髄(いわゆる背骨)に覆われた神経を中枢神経といい、脳と目や鼻や口をつないでいる神経を脳神経といいます。そのほか運動神経や感覚神経もあります(*3)。

自律神経は全身に分布して、心臓、肝臓、腎臓、肺、性器、血管、胃、腸、膀胱、汗腺などを制御する機能を持ちます。

つまり、心臓などの臓器がきちんと働いて「生きる」ことを支えていられるのは、自律神経がそれらすべてをきちんと管理しているからなのです。

血圧の数値が変化するのは自律神経が制御しているから

例えば、血圧の数値は健康な人でも1日に何度か変化します。

早朝、目覚める時刻が近づくと、血圧は低い状態から次第に高くなっていきます。そして午前中から正午にかけてピークに向かいます。

その後は夕方にかけて徐々に低下して、夜、就寝するとさらに下がっていきます。

日中に血圧が上がることで、活動的な時間に血流がよくなって体中の細胞に大量の酸素と栄養を供給できるようになります。

そして夜から早朝にかけて血圧を下げることで、心臓の負担を減らすことができます。

この血圧のコントロールを行っているのが自律神経です。

人が「血圧を上げよう」「下げよう」と思わなくても、自律神経が血圧を適切に制御してくれます。裏を返せば、人が「血圧を上げよう」「下げよう」と思っても、血圧をコントロールすることはできないということになります。

自律神経が行っている仕事は、自律神経にしかできません(*4)。

血圧のコントロール以外の自律神経の仕事

自律神経は血圧のコントロール以外にも仕事(=体調のコントロール)をしています。例えば次のとおり(*4*5)。

■自律神経が関わっている体調コントロールの一部(血圧以外)
・心拍
・体温
・消化
・代謝
・水分と電解質のバランス
・唾液、汗、涙などの体液の分泌
・排尿、排便
・性的反応
・睡眠
・ストレスによる変化への対応

自律神経がこれだけの仕事に関わっているということは、自律神経が乱れたらこれだけの仕事が滞ることを意味します。

それにより春バテが起こります。人によってさまざまな症状が出るのはこのためです。

寒暖差が大きくなるだけで、なぜ自律神経が乱れるのか

ここまでの説明で、次のような疑問が湧くと思います。

・寒暖差が大きくなるだけでなぜ自律神経が乱れるのか

自律神経は、「生きること」を支える重要な器官なので、寒暖差が大きくなったくらいのことで乱れられては困ります。

寒暖差で体内の器官の働きに異常が起きたときこそ、自律神経がしっかりと働いて異常を鎮めてもらいたいものです。

寒暖差が大きくなることで自律神経が乱れるのは、自律神経がそれだけ複雑なシステムを持っているからだといえます。

大きな寒暖差はこうやって自律神経を乱す

自律神経は、交感神経と副交感神経の2つの神経で構成されています。交感神経は分かりやすくいうと「活動担当神経」で、副交感神経は「リラックス担当神経」です。

血圧を例にとって説明すると、日中に血圧を上昇させるのは交感神経の働きであり、夜間に血圧を下げるのは副交感神経の仕事です。

交感神経と副交感神経は、片方が働いているときは他方が働かない関係にあります。

この複雑なシステムが大きな寒暖差によって乱れるのが春の自律神経の乱れです。

気温の変化により体温調整に疲れる

先ほど紹介した春バテの症状のなかに、だるさや倦怠感がありました。

春に寒暖差が大きくなると、人の身体はそれに負けじと身体を温めたり冷ましたりします。気温の変化が激しくなると、体温調整機能(体温を一定に保つ機能)はフル稼働を続けることになります。

自律神経は体温調節に密接に関わっているので、体温調整機能が激しく作動すると、それだけたくさんのエネルギーを使うことになります。それにより疲れやだるさ、倦怠感が生じるのです。

気圧の変化により神経スイッチが機能しなくなる

1日の間に気圧が大きく変化することでも自律神経は乱れます。

自律神経は、交感神経と副交感神経を切り替える「スイッチ」が機能してはじめて正常に稼働します。

気圧の変化が激しいと、スイッチ機能が働かなくなります(*6)。

一般的に気圧と天候の関係は、気圧が高くなると晴れ、気圧が低くなると曇りや雨になります(*7)。

気温が高いときは晴れて気圧が高くなり、気温が低いときは曇りまたは雨になって気圧が低くなる可能性が高くなります。

春の寒暖差の大きさは、気圧の変化の大きさによるもので、それにより自律神経のスイッチが乱れ、春バテの症状を引き起こすと考えられます。

春の諸事情が自律神経を乱す

春には、寒暖差の大きさ以外にも、自律神経に悪影響を及ぼす諸事情があります。

例えば、春は日照時間が徐々に長くなっていきます。そのため、寝る時間が遅くなったり、目覚める時間が早くなったりします。

自律神経は睡眠をコントロールしようとするので、就寝時刻と起床時刻がずれると、その分激しく働かなければなりません。これが乱れを生みます。

春は入学、新学期、入社、年度初めなど節目の時期であり、生活が一変することもあります。それはよくも悪くもストレスを生みます。ストレスは自律神経に悪影響を及ぼすことがわかっています。ストレスが強くなると、春バテどころでは済まず、自律神経失調症という病気につながってしまうこともあります(*8)。

まとめ~医療を頼ってみてください

「春バテかも」と感じたら、まずは生活リズムを整えることから始めてみてください。また、栄養バランスが取れた食事を摂り、適度な運動や快眠を心がけましょう。

それでも春バテが続くようなら、医療機関にかかってみてください。春バテは症状も原因も複数あるので、診療で体調不良の原因が特定できれば対策を講じやすくなります。

また医療機関なら、もし春バテの裏に病気が隠れていたら、それをみつけることができるかもしれません。春バテも体のSOSの1つなので、長く続くようなら医療機関に頼ることをおすすめします。

関連記事:夏バテの症状が出たら、こんな食事をしてみてはいかがでしょうか

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