命の母の副作用で乳がんになる？噂を徹底検証
命の母は、120年にわたって女性の健康をサポートしてきた市販薬です。現在は年代や症状に合わせて、複数の製品がシリーズ化して発売されています。
命の母シリーズをインターネット上で検索すると、「副作用 乳がん」「副作用 子宮筋腫」「副作用 太る」など気がかりな言葉が現れて、服用したくても不安を感じる人がいらっしゃることでしょう。
今回は命の母について、製品ごとの効果・副作用・服用のポイントなどをわかりやすく解説し、世間で噂されている内容の真偽に関しても検証します。ぜひ最後までチェックしてください。
命の母とは？種類と効果について
命の母シリーズは、女性ホルモンの影響によって起こる不調について、年代や症状に合わせて作られた薬で、次の4種類があります。
- • 命の母A
- • 命の母ホワイト
- • 命の母アクティブ
- • 命の母メグリビ
それぞれの薬について、効果や成分を詳しく解説します。
命の母A
命の母Aは、更年期前後で起こるさまざまな不調を改善したい人に向けた薬です。13種類の生薬と11種類のビタミン類で構成されています。
成分
命の母Aでは、3大婦人薬といわれる「当帰芍薬散」「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」の構成生薬を参考にして、幅広い症状に対応できるように工夫されています。
- • 13種類の生薬
（ダイオウ末・カノコソウ末・ケイヒ末・センキュウ末・ソウジュツ末・シャクヤク末・ブクリョウ末・トウキ末・コウブシ末・ゴシュユ・ハンゲ・ニンジン末・コウカ） - • ビタミン類
（ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12・葉酸・ビタミンE・ビオチン） - • カルシウム
（パントテン酸カルシウム・リン酸水素カルシウム水和物） - • タウリン
- • 精製大豆レシチン
効果
命の母Aは、ホルモンバランスや自律神経の乱れからくる更年期の不調を改善します。添付文書上の効能は、以下のように幅広い症状に適応があります。
更年期障害・更年期神経症・血の道症・のぼせ・月経不順・月経異常・生理痛・肩こり・冷え症・肌荒れ・めまい・耳鳴り・動悸・貧血・にきび・便秘・ヒステリー・帯下・産前産後・下腹腰痛・血圧異常・頭痛・頭重
命の母Aに含まれている生薬には、以下のような働きがあります。
- • 女性ホルモン調整：トウキ末・シャクヤク末・センキュウ末
- • 自律神経調節：カノコソウ末・ブクリョウ末・コウブシ末
- • 滋養強壮：ニンジン末・ケイヒ末
- • 血流改善：トウキ末・センキュウ末・コウカ
- • 胃腸機能調整：ダイオウ末・ソウジュツ末・ゴシュユ
また不足しがちなビタミン類・カルシウム・タウリンを補給して、栄養バランスを整え、更年期で起こるさまざまな症状を和らげます。
- • ビタミンB群：新陳代謝を助ける、貧血の予防
- • ビタミンE：血流の改善
- • カルシウム：骨の健康を保つ
- • タウリン：代謝をうながす、心臓や肝臓の機能を高める、疲労回復
- • 精製大豆レシチン：脂質の代謝促進
命の母ホワイト
命の母ホワイトは、月経周期にともなって心身の不調が現れる人に向けた薬です。11種類の生薬から構成されています。
成分
命の母ホワイトの構成生薬は、次の11種類です。
トウキ末・センキュウ末・シャクヤク末・ブクリョウ末・ソウジュツ末・タクシャ末・ケイヒ末・ボタンピ末・ダイオウ末・トウニン末
効果
命の母ホワイトは、月経前から月経中に起こる心と体の不調を改善します。それぞれの不調を具体的に挙げると以下の通りです。
- • 心の不調：イライラする・ゆううつになる・集中力が落ちる
- • 体の不調：肌荒れ・むくみ・倦怠感・月経痛・月経不順
命の母ホワイトの添付文書上の効能は、月経痛・月経不順・ヒステリー・腰痛・頭痛・貧血・冷え症・血の道症・肩こり・めまい・動悸・こしけです。
命の母ホワイトを構成している生薬の効果は次の通りになります。
- • 女性ホルモン調整：トウキ末・シャクヤク末・センキュウ末
- • 鎮静：センキュウ末・ブクリョウ末・ニンジン末
- • 代謝調節：ソウジュツ末・ダイオウ末・タクシャ末
- • 月経リズム調整：ボタンピ末・トウニン末
- • 鎮痛鎮痙：シャクヤク末・ケイヒ末
命の母アクティブ
命の母アクティブは、更年期が終わった後も続く不調がある人に向けた薬です。10種類の生薬から構成されています。
成分
命の母アクティブを構成しているのは、以下の10種類の生薬です。
トウキ末・シャクヤク末・センキュウ末・ボタンピ末・カンゾウ末・ゴシツ末・ニンジン末・ケイヒ末・ビャクジュツ末・ブクリョウ末
効果
命の母アクティブは、更年期を過ぎた後も続く肩こり・腰痛・重だるさ・冷えなどを改善します。添付文書上の効能は以下の通りです。
更年期障害・血の道症・月経不順・冷え症及びそれらに随伴する次の諸症状：月経痛、腰痛、頭痛、のぼせ、肩こり、めまい、動悸、息切れ、手足のしびれ、こしけ、血色不良、便秘、むくみ
女性ホルモン減少と自律神経の不調による症状を軽くし血行を改善するため、下記の目的で生薬が配合されています。
- • 女性ホルモン調節：トウキ末・シャクヤク末・センキュウ末
- • 自律神経調節：ブクリョウ末・ニンジン末・ボタンピ末・ケイヒ末・カンゾウ末
- • 血流改善：トウキ末・センキュウ末・ボタンピ末
- • 筋骨補強：ゴシツ末
命の母メグリビ
命の母メグリビは、更年期の症状に加えて肌の不調もある人に向けた薬です。12種類の生薬から構成されています。
成分
命の母メグリビは、以下の生薬で構成されています。
トウキ・シャクヤク・ビャクジュツ・ブクリョウ・サイコ・センキュウ・ジオウ ・カンゾウ・ボタンピ・サンシシ・ショウキョウ・ハッカ
効果
命の母メグリビは、更年期症状に加えて、しみ・湿疹・かゆみなどの肌の不調も改善します。添付文書上の効能は、以下の通りです。
体力中等度以下で、皮ふがあれてかさかさし、ときに色つやが悪く、胃腸障害はなく、肩がこり、疲れやすく精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときにかゆみ、便秘の傾向のあるものの次の諸症：湿疹・皮ふ炎・しみ・冷え症・虚弱体質・月経不順・月経困難・更年期障害・血の道症
命の母メグリビは、ホルモンバランスや自律神経の乱れと、肌の不調の原因となる血流の悪化を改善するため、漢方の「加味逍遙散」と「四物湯」を組み合わせた処方になっています。
命の母メグリビを構成している生薬の効果は以下の通りです。
- • 血流促進：トウキ・センキュウ・ボタンピ・ジオウ・ショウキョウ
- • 女性ホルモン調整：トウキ・シャクヤク・センキュウ
- • 自律神経調整：ブクリョウ・サイコ・カンゾウ・サンシシ・ハッカ
命の母にはどのような副作用があるか
命の母シリーズの副作用と、服用するときのポイントについて解説します。
副作用について
各製品の添付文書に記載されている副作用は次の通りです。
命の母A・命の母ホワイトの副作用
- • 皮膚症状：発疹・発赤・かゆみ
- • 消化器症状：吐き気・嘔吐・食欲不振・胃部不快感・はげしい腹痛を伴う下痢・腹痛
命の母アクティブの副作用
- • 皮膚症状：発疹・発赤・かゆみ
- • 消化器症状：吐き気・食欲不振
命の母メグリビの副作用
命の母メグリビで、一般的に起こる副作用は以下の通りです。
- • 皮膚症状：発疹・発赤・かゆみ
- • 消化器症状：吐き気・食欲不振・胃部不快感・腹痛
まれに以下の重篤な副作用が起こることがあります。
- • 偽アルドステロン症・ミオパチー
構成生薬のカンゾウによる副作用です。手足のだるさ・しびれ・つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛が現れます。徐々に症状が強くなる傾向があります。 - • 腸間膜静脈硬化症
構成生薬のサンシシによる副作用です。長期服用によって、腹痛・下痢・便秘・腹部膨満などが繰り返しみられます。
服用するときの注意点
命の母シリーズに共通する注意点は以下の通りです。
- • 妊娠中・授乳中の場合は、服用前に主治医や薬剤師に相談する。
- • 効果がみられれば継続服用してもよいが医薬品であるため、調子がよくなったら一度お休みをして、体調に合わせて服用する。
- • 体調に合っているかどうかは2～3ヶ月継続服用して検討し、改善がなければ中止して医師の診察を受ける。
- • 併用禁止の薬はないが、同じ生薬を含む薬との併用は副作用を生じるおそれがあるため注意する。
製品ごとの注意点や服用のポイントについて、次から解説します。
命の母A
命の母Aは、人によっては服用開始して2週間程度で効果を感じられることがありますが、月経周期を考えると少なくても1ヶ月は継続して様子をみるようにしましょう。女性ホルモンを調整する働きがあるため、服用によって月経が予定より早く来たり、経血量が増えたりすることがあります。閉経後や更年期を過ぎていても、効能に記載された症状があれば服用可能です。
命の母ホワイト
月経前から月経中における不調の場合は、気になる症状があるときのみ服用で構いませんが、月経期間前後の服用で効果を得られない場合は、服用期間を延ばして体調を確認するとよいでしょう。
月経不順で服用する場合は、月経周期を考慮して1～2ヶ月は継続服用して、効果が現れるか確認してください。命の母ホワイトには女性ホルモンを調整する働きがあるため、服用によって生理が予定より早く来たり、経血量が増えたりすることがあります。
命の母アクティブ
命の母アクティブは、15歳以上で効能にある症状があれば、更年期症状の有無にかかわらず服用可能です。
命の母メグリビ
命の母メグリビは、カンゾウ・サンシシによる副作用を考慮し、長期連用する際は注意が必要です。肌の悩みに対して服用する場合は、肌のターンオーバーが約28日サイクルであるため、少なくとも1ヶ月は継続して経過を確認するとよいでしょう。
命の母を飲むと乳がんのリスクがあるのか
インターネット検索で「命の母 乳がん」と表示が出ますが、命の母シリーズを服用して乳がんのリスクが上がる副作用はなく、発がん性についても報告されていません。
また、命の母シリーズは複数の生薬から構成された薬で、乳がんに影響するホルモン剤は一切含まれていません。
命の母シリーズの服用で乳がんの危険性はないため、心配は不要です。
命の母にまつわる噂について
「命の母」とインターネット検索すると、いくつか気になる噂が上がってきます。薬の服用による副作用なのか次から検証します。
命の母の副作用で太るのか
命の母シリーズの副作用に体重増加の記載はありません。
命の母シリーズには、更年期で太りやすくなる体質を改善する効果はないです。更年期でみられる気分の落ち込み・イライラ・重だるさ・のぼせ・肩こり・頭痛などの症状を改善します。
更年期で体重が増えるのは、エストロゲンの分泌低下や加齢による基礎代謝の低下が原因です。エストロゲンには、脂質代謝をコントロールする働きがあります。そのためエストロゲンが減少すると、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪が増加しやすく、内臓脂肪型の肥満になりやすいとされています。
命の母を服用すると子宮筋腫が大きくなるのか
命の母シリーズを服用して、子宮筋腫が悪化するという副作用はありません。ただし子宮筋腫で治療を受けている人は、服用前に主治医への相談が必要です。
命の母シリーズには血行を促す生薬が含まれているため、服用開始後に経血量が増えることがあります。子宮筋腫を持つ人が命の母を服用すると、体質によっては経血量がさらに増えたり、月経期間が延長することが考えられます。
命の母を服用すると胸が大きくなるのか
命の母シリーズの副作用に、乳房が張るという記載はありません。命の母シリーズは生薬で構成されており、漢方医学の視点からホルモンバランスを調整しますが、女性ホルモンを補充する薬ではありません。
そのためピルやホルモン補充療法の副作用にある乳房の張りは、命の母シリーズでは起こりにくいでしょう。
まとめ
命の母シリーズは、女性ホルモンの影響で生じる心身のトラブルに関して、年代や症状に合わせて作られた市販薬です。月経前症候群（PMS）から更年期障害まで、幅広い症状に対応しています。複数の生薬が配合されており、漢方医学の視点から血の巡り・水の調節・気の流れを整えて、月経周期や更年期にともなう不快な症状を改善します。
命の母シリーズの主な副作用は、発疹・かゆみなどの皮膚症状や吐き気・食欲不振などの消化器症状です。命の母シリーズには女性ホルモン剤が含まれていないため、ホルモンが関係する乳がん・子宮筋腫・体重増加・乳房の張りの副作用はありません。
命の母シリーズを服用するときに、今回の記事を参考にしていただければ幸いです。
