サーバントリーダーシップとは?最新のリーダーシップ論のメリットとデメリット
その他リーダーシップをどう発揮すればよいか悩まれている経営者や管理職の方は少なくありません。そこで、参考にしていただきたい手法が、アメリカで提唱されたサーバントリーダーシップです。今回は、ビジネス環境の変化が著しい現代社会で、困難を乗り越えるためのリーダー像として世界で注目されているサーバントリーダーシップでどのような効果が得られるのか、デメリットも含め、お伝えしていきます。
サーバントリーダーシップとは
リーダーシップという言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか? 一般的には、リーダーが上に立って部下をぐいぐいと引っ張っていく、というイメージがあると思いますが、サーバントリーダーシップは少し違います。
サーバントリーダーシップは、部下の能力と自主性を尊重し、経営者(上司)と部下の相互の利益になるよう信頼関係を築くリーダーシップのスタイルです。部下を信頼し、積極的にサポートし、必要なときはアドバイスを行い、共に同じ目標に向かいます。サーバントリーダーシップは、経営者(上司)が支援を行うことで社員を目標へと導いていくため、支援型リーダーシップとも呼ばれる手法です。
servant(サーバント)という言葉には、辞書で引くと、「召使い」や「使用人」といった意味がありますが、ここで使われている「サーバント」は、社員が最大限に力を発揮できる環境づくりのためにリーダーが「奉仕する」といった意味になります。
経営者(上司)が命令して一方的に部下を動かせるスタイルではなく、会社または組織、チームとしてのビジョンを示し、部下と協力し合いながら、組織としての成長を目指していくことが特徴です。そのためにも、サーバントリーダーに求められる役割は、第一に、組織のメンバーが臆することなく自己表現できるような環境を作ることです。
このリーダーシップ哲学は、アメリカの教育コンサルタント、ロバート・グリーンリーフによって提唱されました。彼は「リーダーとは相手に奉仕し、その後で導くものだ」と説いています。ロバート・グリーンリーフは敬虔なキリスト教徒であり、彼の考えはイエス・キリストの言葉「仕えられるのではなく、仕えるため」が基になっているといわれています。
このリーダーシップ手法は、日本でも広がりつつあり、UNIQLO(ユニクロ)代表取締役会長兼社長の柳生正氏が数年前に「経営者と社員全員にサーバントリーダーになってもらいたい」と述べたことは記憶に新しいのではないでしょうか。
サーバントリーダーシップで期待できるメリット
社員の自律性が育つ
経営者や管理職が部下の意見をよく聞くサーバントリーダーシップでは、社員の自主性を尊重するため、信頼関係が構築され、組織としての方向性に基づいて、社員は主体的に考え、行動できるようになり、自律性が育まれます。
社員それぞれの持つ良さを存分に発揮できる
社員が自由に意見交換できる環境になると、良いアイデアを採用できる機会が増えるため、経営者としても、社員一人ひとりの良さを反映した上でビジネスを行うことができます。
顧客満足度が上昇する
サーバントリーダーが、顧客の声を最も知っている現場の声に耳を傾けることで、顧客をどうすれば喜ばすことができるかを考えるようになり、顧客の視点で経営戦略を練ることができ、顧客満足度アップにつながります。
離職率の低下につながる
経営者(上司)との信頼関係が構築でき、自分の価値観が認められていると感じると、社員は自分が今いる組織に満足し、さらに貢献したいという思いが強くなるため、離職を防げる効果が期待できます。現在の社会状況ですと、これが一番大きなメリットと言えるかもしれません。
サーバントリーダーシップの気になるデメリット
部下の意見に耳を傾けることがサーバントリーダーの特性のひとつですが、部下一人ひとりの意見を聞き取り、まとめるには多くの時間が必要です。部下が多くなるほど、異なる意見がいろいろと飛び交い、意志決定するまでに時間がかかることが予想されます。リーダーは、部下たちの意見を踏まえながらも、スピード感をもって判断を下すことが必要です。サーバントリーダーは、部下が自ら答えを出せるようにサポート役として関わっていくため、ストレートに指示するよりも予想以上に時間がかかることがあります。方針決定の遅れは、業務に悪影響が出るリスクもあるといえるでしょう。
サーバントリーダーシップにはデメリットも指摘されていますが、それを補ってあまりある大きなメリットもあるといえます。実際に、良品計画、スターバックス、ダイエーなどの企業では、すでにサーバントリーダーシップを導入し、一定の成果をあげています。
社会情勢も刻々と変化し、急速なグローバル化により、働く人の価値観も多様化しています。また、予測不能の事象が起こり得る可能性もある時代に、リーダーはさまざまな特性を有する部下の能力を出来る限り生かしていくことが必要です。組織を変えるには、そのリーダーが率先して範を垂れる必要があるのではないでしょうか。