セルフマネジメントとは?自己管理能力を高める方法やできない人の特徴など解説

会社が継続的に売上を出すためには、組織人の「セルフマネジメント能力」が求められます。セルフマネジメント能力は高いパフォーマンスの発揮や、心身の健康維持による事業継続に役立つ能力です。
セルフマネジメントという言葉を聞いたことがある方でも、マネジメントの対象や具体的なやり方を知らないという人は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、セルフマネジメントとは何かを整理し、経営者が能力を身につけるメリットや高める方法、できない人とできる人の特徴などを分かりやすく解説します。
セルフマネジメントとは「自己管理」のこと

セルフマネジメントとは、自分の行動・思考・感情などを管理することや、管理するためのスキルを指します。直訳すると「自己管理」であり、管理する対象には以下の項目があります。
- ・自分の目標設定と行動計画
- ・キャリア構築
- ・タスクの取り組み方
- ・時間の使い方
- ・怒りや悲しみなどの感情
- ・心身の健康
- ・ストレスへの対応力
など
紹介した項目は、いずれも自分自身の状態にかかわる要素です。
セルフマネジメント能力を高めると自分の状態を適切に把握・管理できるようになります。自己管理によって自分の状態を良くしていき、パフォーマンスを最大限発揮できるようにすることがセルフマネジメントの目的です。
セルフマネジメントがビジネスで重要視される理由

セルフマネジメントは、経営学者ピーター・F・ドラッカーの著書「経営者の条件」で重要性が指摘されている概念です。自己管理によってパフォーマンスの向上を図るという考え方は、近年のビジネスシーンにおいてますます重要視されています。
以下では、セルフマネジメントがビジネスで重要視されている3つの理由を解説します。
生産性の向上が求められている
少子高齢化に伴う人材確保の難しさや、働き方改革による時間外労働の上限規制の中で、会社は限られたリソース(人・時間など)で成果を上げる必要があります。セルフマネジメントで従業員1人ひとりのパフォーマンスを高めることは、会社全体の生産性を向上させるうえで欠かせない取り組みです。
また、セルフマネジメントの浸透に取り組む会社では、従業員が仕事を通して自己実現を目指せます。高いモチベーションで働く従業員が増えることで職場が活性化し、会社全体の成長にもつながります。
テレワークの普及により自己管理の必要性が増している
テレワークはコロナ禍での三密対策として普及し、現在でも多様な働き方を実現する方法として取り入れられています。テレワークを導入する際に問題となるのが「従業員のパフォーマンス維持」です。
テレワークでは自宅やサテライトオフィスのように周囲の目が少ない環境で働くため、従業員が公私の切り替えをつけにくくなります。勤怠管理システムやWebアクセスの監視という対策もできるものの、社内環境と比較して従業員が業務に集中できないケースは少なくありません。
その点、セルフマネジメントは従業員が自分自身を管理する手法であり、設定した目的・目標に対して自分を最適化できます。環境にパフォーマンスを左右されることがないため、テレワーク環境でも主体的に働ける人材になることが強みです。
変化するビジネス環境への適応力が重要になっている
デジタル技術活用による変革を目指すDXや、異なる領域・分野同士でのクロスオーバーなど、近年はビジネス環境に大きな変化が訪れるシーンが増えてきました。ビジネス環境の変化は従業員の業務量・業務内容や働き方にも影響を及ぼし、「今の環境が合わず高いパフォーマンスを発揮できない」というケースも発生します。
変化するビジネス環境に従業員が適応するには、従業員自身が働き方や周辺環境をコントロールできる必要があります。セルフマネジメントは従業員が自分の状態や取り巻く環境を把握し、管理するために欠かせない能力です。
経営者がセルフマネジメント能力を高めるメリット

セルフマネジメントは従業員だけではなく、経営者も身につけるべきスキルです。経営者の意思決定力やリーダーシップは組織のかじ取りにかかわるため、セルフマネジメントで高い能力を発揮することには多くのメリットがあります。
以下では、経営者がセルフマネジメント能力を高める4つのメリットを紹介します。
目標の明確化により効果的な計画立案につながる
セルフマネジメントで経営者自身の目標を明確化すると、会社が目指すべき方向性を把握しやすくなります。事業成長のために何をすべきかが分かり、効果的な事業計画の立案ができる点がメリットです。
事業計画は会社全体の方針であり、投資家や金融機関に自社の状況を伝える手段にもなります。社内外の高い信頼を獲得できる事業計画を立案するために、経営者はセルフマネジメントを実践すべきといえるでしょう。
自分のキャパシティを把握してリーダーの仕事に集中できる
経営者は会社経営にかかわる判断を下す仕事だけではなく、組織全体のマネジメントや取引先との面談・交渉、ときには現場業務に携わることもあります。複数のタスクを遅滞なく進めるには、自分のキャパシティを把握することが重要です。
セルフマネジメントは業務量や時間についても管理するため、自分のキャパシティを踏まえてタスクの優先順位を決められるようになります。経営者がやらなくてもいい仕事は担当者に回すようにすれば、経営者自身はリーダーの仕事に集中することが可能です。
セルフマネジメントの重要性が組織全体に浸透する
セルフマネジメントはパフォーマンス向上に役立つスキルであるものの、高い効果を得るには日常的な振り返りと継続が必要です。従業員の中にはセルフマネジメントの効果が分からないまま辞めてしまい、パフォーマンス向上ができていないというケースもあるでしょう。
経営者自身がセルフマネジメントを実践すれば、セルフマネジメントの重要性が組織全体に浸透します。従業員は経営者をロールモデルとしてセルフマネジメントに取り組み、高いパフォーマンスを引き出しやすくなる点がメリットです。
経営者の身体的・精神的な健康を維持できる
セルフマネジメントでは心身の健康を意識的に管理するため、経営者自身の身体的・精神的な健康を維持できます。経営者の健康は会社経営の継続にかかわる要素であり、会社に対する投資家や金融機関からの評価にも影響するポイントです。
会社経営はさまざまなストレスに晒される仕事であり、経営者が脳血管疾患・心疾患・がんなどの重篤な病気になると経営継続が難しくなります。会社経営のリスクを可能な限り減らすためにも、経営者はセルフマネジメントで自身の健康状態を管理することが大切です。
経営者がセルフマネジメントで自己管理能力を高める5つの方法

セルフマネジメントは自己管理のことであるものの、単に自分の状態を管理するだけではパフォーマンスの向上につながりません。高い効果を得るには、自分にとって理想の状態を把握したうえで、実現につながる自己管理方法を実践する必要があります。
以下では、経営者がセルフマネジメントで自己管理能力を高めたいときにおすすめの方法を5つ紹介します。
身体的・精神的な健康の維持増進を図る
経営者の健康状態は会社の信頼性にかかわります。経営者は自身の健康状態に関心を持ち、身体的・精神的な健康の維持増進を図りましょう。
健康診断や人間ドックを定期的に受診すると、自分の健康状態を詳細に把握できます。生活習慣を見直すきっかけになるほか、病気の兆候が見られる場合も早期発見と治療ができて、病気によるリタイアや治療のために長期入院をするリスクを防げます。
また、経営者に多いストレスへの対策を知っておくことも大切です。仕事のことを忘れてリフレッシュできる時間を作ったり、自分の悩みを打ち明けられる相手を作ったりすると、精神的な健康も保ちやすくなります。
具体的な目標と達成計画を立案する
経営者がリーダーの仕事で高いパフォーマンスを発揮するには、「どのような経営をしたいか」を考え、実現していく必要があります。具体的な目標を設定して、目標達成のための計画を立案しましょう。
たとえば事業コストに課題を感じている場合は、「5%のコスト削減を目指す」のように実現可能な数字を含めて目標を設定します。後はコスト削減には何をすればよいかや削減プロセスを考えることで、目標達成の道筋を作れます。
時間の使い方を意識する
経営者は会社内のさまざまなタスクにかかわるため、時間を有効活用する必要があります。パフォーマンスが向上する時間の使い方(タイムマネジメント)を意識することが大切です。
タイムマネジメントでは、まず自分のタスクをToDoリストにまとめ、タスクごとに優先順位と消費時間を決めます。後は優先順位をもとに「経営者がおこなうタスク」「他者に任せるタスク」「捨てるタスク」を選別して、自分のタスクにかかる消費時間からスケジュールを設定するだけです。
タイムマネジメントがうまくできると時間の余裕が生まれ、会社経営のストレスが少なくなるメリットもあります。
誘惑や衝動を抑制する習慣をつける
セルフマネジメントの効果を高めるには、立案した計画やタイムマネジメントのスケジュールをきちんと守る必要があります。計画やスケジュールに遅れが出ないよう、誘惑や衝動を抑制する習慣をつけましょう。
経営者は会社のトップであり、自分にとって都合のよい方向に計画やスケジュールを変えることは簡単です。しかし、あらかじめ決めた計画・スケジュールをやり通す力がつくと、苦しい場面でも乗り越えられる意志力を培えます。
怒りや悲しみの感情をコントロールする
会社経営でアクシデントに見舞われたとき、経営者は事態を把握して冷静に対処する必要があります。いつでも的確な判断ができるよう、怒りや悲しみの感情をコントロールするスキルを身につけることが大切です。
たとえば怒りを感じたときには、自身の怒りのピークをやり過ごすために「6秒待つ」という方法があります。感情を落ち着かせるために、その場を離れて深呼吸することも有効な対処法です。
セルフマネジメントができない人とできる人の特徴

セルフマネジメントのやり方を知っていても「続かない」「うまくできない」という人は少なくありません。セルフマネジメントを実践するには自己を客観視する必要があり、人によって得意不得意があるためです。
セルフマネジメントが苦手な人は、できる人の特徴とできない人との違いを理解して、自分がどのような点を改善すればよいかを分析しましょう。
セルフマネジメントができない人の3つの特徴
セルフマネジメントができない人には、以下の3つの特徴があります。
こだわりが強く、失敗を許容できない
こだわりが強く、失敗を許容できない人は、効率的なタスク管理やタイムマネジメントが苦手です。仕事に完璧を求めすぎると労力や時間といった多くのリソースを費やしてしまい、パフォーマンスの低下を招きます。
人に頼れずタスクを抱え込みやすい
頼ることが苦手な人は他者にタスクを任せられず、自分で多くのタスクを抱え込んでしまいます。自分のキャパシティを越える量のタスクを抱えると、過労や過度のストレスを抱え、心身の健康も害するため注意してください。
ストレスを溜め込みやすい
ストレスを溜め込むとメンタルが不安定になり、仕事のモチベーションを維持しにくくなります。感情のコントロールが難しくなって判断力・意思決定力が低下することも、パフォーマンスが低下する要因です。
セルフマネジメントができる人の3つの特徴
セルフマネジメントができる人の特徴は以下の3つです。セルフマネジメントに苦手意識がある方は、できる人の特徴を身につけることを意識しましょう。
失敗やトラブルもポジティブに捉えられる
失敗やトラブルが起きてもポジティブに捉えられる人は感情のコントロールが得意です。失敗した原因の分析と改善にも意欲的に取り組めて、タスク管理やタイムマネジメントを楽しんで行えます。
タスクに優先順位をつけて処理できる
複数のタスクを効率的に処理できる人は、セルフマネジメントのやり方が自然と身についています。経営者は従業員にタスクを割り振ることも仕事の一部であるため、タスクの優先順位をつける習慣をつけると良いでしょう。
ストレス解消方法を持っている
自分なりのストレス解消方法を持っていることは、自身の身体的・精神的な健康を維持するためのポイントです。適度なストレス解消によって心に余裕を持てるようになり、仕事のモチベーション維持とパフォーマンス向上を図れます。
まとめ

セルフマネジメントとは、自己管理を通して自身のパフォーマンスを高めることです。健康の維持増進やタイムマネジメント、感情のコントロールといったセルフマネジメントの方法を実践すると、高い能力を発揮しやすくなります。
特に経営者のパフォーマンスは、会社全体の成果に影響します。経営者の方はまずセルフマネジメントで自身のパフォーマンスを高め、良い状態を維持することが大切です。
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