日本人が長生きする理由とは? 食生活と医療技術による寿命の延び
健康長寿日本は世界でもトップレベルの長寿国となりました。
2020年の平均寿命は男性が81.64歳で世界2位、女性が87.74歳で世界1位という結果でした。
日本人の寿命は昭和に入ってから伸び続け、昭和40年代には70歳前後だった平均寿命が女性は昭和59年、男性は平成25年には80歳を超えるようになったのです。
現在も、延びの勢いこそ落ちたものの、日本人の平均寿命は緩やかな上昇を続けています。
なぜ日本人は長生きできるのでしょうか。
その背景には食生活の変化と医療技術の進歩があるとされています。
本記事では、日本人が長生きになった食生活と医療技術について紹介していきます。
日本人の食生活と寿命の関係
日本では昔から日本食が食べられてきましたが、食生活の変化により欧米風の脂質や炭水化物の多い食事が増えてきています。
では、なぜ日本人が欧米風の食生活になっても欧米諸国より長生きなのかをみていきましょう。
和食は脂質が少なく、ビタミンが多かった
日本人はかつて肉類よりも魚が食卓に並び、豆腐、納豆、みそといった植物性のたんぱく質を多く摂っていました。
大豆には悪玉コレステロールと言われるLDLコレステロールの数値を下げ、動脈硬化のリスクを軽減させる効果があると知られています。
また緑茶にはカテキンとビタミンCが含まれ、美肌や抗酸化作用があります。
しかし和食中心だったその時代は、白米の普及や一部の栄養素不足という事情もあり、日本人の平均寿命は現在の半分ほどだったのです。
参考:
動物性たんぱく質中心の欧米食生活の影響
現代の日本人の寿命が延びた大きな理由の一つとして、欧米の食生活には動物性たんぱく質や脂質が多かったことが挙げられます。
たんぱく質は私達人間の体で、筋肉や内臓機能の維持、代謝に関係する栄養素です。
日本食は一汁三菜の野菜や穀類中心の食生活であったため、ミネラルやビタミン類は豊富でしたが、動物性たんぱく質や鉄分などの栄養素が不足していました。
日本食では非ヘム鉄という食物性の鉄分が多いのですが、吸収率が悪く、貧血になりやすいという問題もありました。
半面で肉類にはヘム鉄という吸収率の高い鉄分が多く、現在では貧血で苦しむ人も大幅に減少したのです。
また脂質はエネルギー源になるほか、細胞膜やホルモンの生成にも関係する大事な栄養素でもあります。
特に女性ホルモンは脂質から作られるため、安定した月経にも必須の存在です。
以前は動物性たんぱく質や脂質は生活習慣病に繋がると言われていましたが、現在では限度もありますが積極的に食べることが推奨されるようになりました。
高齢者でも肉を食べる方の方が健康で長生きという統計もあるように、欧米風の食生活によるメリットも多いということがわかります。
元々の一汁三菜の食生活に欧米風の食生活がマッチしたことで、栄養バランスの取れた食生活になり、寿命の延長にも繋がったのです。
医療技術の進歩と社会制度
日本人の寿命が延びてきた理由の1つに、医療技術の進歩や社会制度が大きく関係してきます。
日本の医療水準は世界でも高いレベルにあり、高いレベルの医療を保険制度のおかげで、自己負担の範囲内という費用で享受できるのです。
医療技術と社会制度の観点でみていきましょう。
医療技術は世界でも高い水準
世界的な医学誌のランセットによると、日本の医療水準は世界でも高水準に位置します。
日本では全国どこの病院でも画一化された医療が提供され、高度な先進医療を希望しない限りは、医療過疎地でない限り地方でも大都市でも平均的な医療水準が約束されています。
また企業に所属する人には年に1回の健康診断、ストレスチェックも行われており、早い段階で異常を発見できる土台が整っています。
他にも希望者には人間ドックやがん検診などもあり、手ごろな値段で全身を精査することができ、病気の早期発見・早期治療を可能にしているのです。
これだけ健康に対する意識の高い国は、日本を除くとほとんどありません。
参考:
医療制度で誰でも病院受診できる
日本の特徴的な医療制度と言えば社会保険制度です。
医療保険、雇用保険、介護保険、国民健康保険など様々な保険が公的機関により運営されています。
日本のようにいつでも、どこの病院でも保険適用され、医療費が3割負担の国は先進国でも珍しいのです。
例えばアメリカでは、保険制度はあるものの日本のものとは異なり、どこでも受診できるわけではなく、決められた病院・医師の受診でしか適用されません。
また、医療費も日本に比べて圧倒的に高く、病院は誰でも受診できるようなものではないのです。
日本であれば盲腸の手術が30万円前後ですが、アメリカ(ニューヨーク)では150万円~400万円もかかってしまいます。
日本の医療制度が長寿に貢献してきたことは間違いないでしょう。
参考:
まとめ
日本が世界でもトップレベルの長寿国にまでなったのは、食生活と医療技術の貢献が大きいと言えるでしょう。
欧米風の食生活も偏りすぎれば生活習慣病へと繋がるので、日本食とのバランスを取りながら続けるのがおすすめです。
医療技術については日々進歩しており、医療制度のおかげで私達はその恩恵を受けられています。
健康長寿のために、食生活と医療技術を最大限に生かした日々を送りましょう。