一次予防の基本は「生活習慣の改善」。食事・睡眠などの改善方法の基本とは
未病健康長寿近年健康への関心が集まっており、いかに早い段階で病気を防ぐか・病気を見つけるかへの注目が高まっています。特に、予防医学のなかでも一番の要になるのが、一次予防です。
今回は一次予防と、対策・改善方法について解説していきます。
一次予防とは
そもそも一次予防とは、健康増進・疾病予防・特殊予防を目的に行動をしていく、予防医学のなかで一番の基礎となる取り組みです。
健康増進のための「生活習慣の改善」
一次予防の中で個人でできるものは健康増進です。生活習慣病やがんなどの様々な病気のリスク低減ができるうえ、二次予防、三次予防に必要な時間などの削減にもつながります。
健康増進のためには、生活習慣を整えることが大切です。
今回は特に、食事と睡眠について対策・改善方法を説明します。
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バランスの良い食事を摂る
バランスの良い食事とは、主食・主菜・副菜・汁物をバランスよく摂ることです。野菜を必要量以上摂取している人・適切な脂肪を摂取している人・適切な塩分量を摂取している人には、生活習慣病になるリスクが低いといわれています。
・主食 ご飯・パン・麺類などの穀類で、主に炭水化物を摂取します。
・主菜 肉・魚・卵・豆腐などのメインおかずで、主にタンパク質を摂取します。
・副菜 野菜・海藻などのおかずで、主にビタミン・ミネラル・食物繊維を摂取します。
・汁物 野菜や海藻などを使い、具沢山にしましょう。
野菜・果物は摂取目標を目指しましょう
循環器疾患やがんを予防するために、十分な量の野菜と果物を摂取することが勧められています。野菜の摂取目標値は1日350g以上、果物の目安は1日100g程度です。特に外食の場合は、野菜が少なくなりがちなので意識して摂取するようにしましょう。
塩分を摂りすぎないようにしましょう
食塩のとり過ぎにより、高血圧・胃がんのリスクを高めることが報告されています。食塩の摂取目標量は1日8g以下です。また、野菜や果物、豆類、海草類に含まれるカリウムは塩分を体内から排出させる働きがあります。とはいえ、食塩を多くとったからといってカリウムも摂りすぎてしまうと、腎機能の低下・心臓病のリスクをもたらします。
また塩分を減らすことは大事ですが、あまりに急激に減塩すると味気なくストレスに感じたり、塩分が不足すると低ナトリウム血症になる可能性もあります。特に外食は塩分量が多く含有されている場合が多いため、塩分もカリウムも適正量を守るように意識していきましょう。
脂質を摂りすぎないようにしましょう
脂質は適量を摂取することで、脂質異常症や肥満を防ぎ、循環器疾患や糖尿病のリスクを抑えられます。調理に使う油を減らす工夫をしたり、調理法を工夫すると脂質の摂取を減らすことができます。また、油で揚げてあるお菓子やバターを多く含むお菓子など、脂質を多く含む食品の摂取はなるべく少なくしましょう。
嗜好品は適度な摂取をこころがけましょう
嗜好品とは、栄養摂取のためではなく、その人の好みで摂取するものです。一般的には、お酒・コーヒー・清涼飲料(ジュース)・お菓子などの食品を指しますが、タバコなどの食品以外も指すことがあります。
嗜好品が多くなると栄養バランスが崩れる原因となります。しかし適度な摂取は、精神的なストレスなどを軽減する効果や、人との関係性構築を円滑にする役割があります。バランスの良い食事を基本とし、嗜好品は適正量に留めるようにしましょう。
適切な睡眠をとる
睡眠不足は、高血圧・糖尿病・肥満などの生活習慣病のリスクを高めることが分かってきています。また、睡眠不足により注意力が散漫になったり、慢性的な睡眠不足が続くとストレスになります。
睡眠は量よりも質を意識しましょう
健康を保つためには適切な睡眠をとることが大切です。おおむね「1日8時間」と言われていますが、人によって適正時間は異なります。また、朝起きたときに「ぐっすり眠った」と感じられる睡眠を意識することが大切です。
睡眠の質を高めるためにできることを以下に挙げました。規則正しい生活を送ることを意識していきましょう。
・朝目覚めたら、カーテンを開けて自然光を浴びる
・寝る時間と起きる時間を毎日一定にする
・食事は、1日3食を規則正しくとる
・運動は、就寝3時間くらい前に適度に行う
・入浴は、就寝2~3時間前に行う
・就寝前は、コーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲食物は控える
・就寝前は、PC、タブレット端末、スマートフォンなどの画面を長時間見ない
一次予防は、生活習慣の小さな積み重ねです
今回は、一次予防の中でも食事と睡眠にフォーカスを当てて解説をしてきました。健康を意識して行動を変えていくことで生活習慣病の予防になり、体調を崩しにくくなります。しかし、1つ1つが小さな積み重ねであり、目に見えて健康に役に立っているのかが実感しにくいでしょう。
そのときには、二次予防である健康診断や人間ドックを受けることで、確かめることができます。一次予防はあくまでも疾病になりにくい身体づくりのための行動で、完全に疾病を防ぐことはできません。二次予防を組み合わせることで、早期発見や早期のリスク管理につながります。
そのためにもまずは、生活習慣を見直して改善していきましょう。