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PET検査でアルツハイマー病の有無がわかるのは脳の細胞レベル(糖代謝)の様子がわかるから

ここ数年、とても情報量が増えている認知症。先日も、米食品医薬品局(FDA)が2021年6月7日(現地時間)、「Aduhelm(アデュヘルム)」(アデュカヌマブ)をアルツハイマー病の治療薬として迅速承認したことが話題になりました。
国内では未だ承認されていません。このよう中で私たちは、どうやってアルツハイマー病を確認していけばいいのでしょうか。
実は、PET(陽電子放出断層撮影)検査は、数少ないアルツハイマー病関連の検査です。PET検査は、国内ではがんの検査機器として有名ですが、アメリカでは脳の検査機器として開発されたのが始まりです。

アルツハイマー病は早期に発見できれば早期に医療の介入や本人の行動変容によって症状を和らげたり病気の進行を遅らせたりすることが期待できます。
この記事ではPET検査がアルツハイマー病の兆候をどのようにみつけるのかを解説します。

PETのメカニズムと糖代謝

「PET検査は、がんの検査機器だと思っていた」という方もいると思います。がんを調べるPET検査で、実は脳内も検査することができます。
がんとアルツハイマー病はまったく異なる病気ですが、双方とも「糖代謝」という現象に関わるPET検査だからこそ調べることができます。
PET検査の仕組みと糖代謝について、以下に解説していきます。

PETの原理:糖を取り込ませて放射線を検知して画像化する

PET検査ではまず、受診者にPET製剤という特殊な物質を注射で投与します。今回はPET製剤のFDGについて説明します。FDGはブドウ糖に似た物質とポジトロン核種という物質でできています。

ブドウ糖は、脳の神経細胞に取り込まれてエネルギー源になります。そのため、受診者にPET製剤を静脈注射することで、脳の神経細胞がFDGを取り込もうとします。
そして、PET製剤に含まれるポジトロン核種は、微量のガンマ線という放射線を発します。PET検査では、このガンマ線を検出して画像化します。
その画像で、脳の神経細胞がどれくらいエネルギー源(ここではFDGのこと)を取り込んでいるのかがわかります。つまり、このFDG取り込みの量により脳全体の活動が視覚化できるわけです。

糖代謝とは

人のさまざまな機能のなかで、代謝は理解が難しい現象の1つでしょう。
代謝とは、運動したり臓器を動かしたりしてエネルギーを消費することなどを言います。

PET検査に関連するFDG代謝は、糖代謝です。
糖代謝とは、食べた食物を消化吸収して、臓器や器官がそこからエネルギーを得て活動したり、エネルギーを蓄積したり、蓄積したエネルギーを利用したりする営みのことです。
エネルギーになるのが糖です。糖は血液によって体内のすべての細胞に運ばれます。

PET検査で受診者がFDGを注射された後に、脳の神経細胞は活動のために糖を取り込みます。アルツハイマー病では脳の動きが落ちているので、糖(FDG)をほぼ取り込めないということになります。
一方で、がんの場合は細胞分裂が活発なので正常な細胞に比べて多くの糖(FDG)を取り込もうとします。
次にこの原理を利用して画像として捉えていく方法を簡単に説明していきます。

PET製剤の集まりが少ないとアルツハイマー病の可能性がある

健常者の脳では、神経細胞が活発に働いているので糖代謝が活発に起こっています。それで健康な神経細胞は大量の糖(FDG)を必要とします。
そのため健常者の脳には、PET製剤が多く集まります。PET製剤が多く集まっている場所は、糖代謝が活発で脳の神経細胞が問題なく働いていると推定できます。

アルツハイマー病を発症していると、脳の神経細胞の活動が低下しているので、糖(FDG)をあまり必要としません。そのためアルツハイマー病患者の脳は、PET検査を行うとPET製剤があまり集まっていないことがわかります。このことから、その部位に関して神経細胞の機能が低下していることや、神経細胞が欠落していることなどが推定できます。

がんの場合は、PET製剤が多く集まっている部分が病巣と推定されます。がん細胞は大量の糖(FDG)を必要とするので、FDGが集まってくるからです。

脳PET検査の流れ

脳のPET検査をするときの流れを紹介します。
受診者は、PET検査を受ける4時間前から食事や糖を含む飲み物を摂取しないようにします。食事後は体に既に糖分が存在しているため、糖(FDG)の濃淡や集積の差異を画像化できず診断に影響を与えます。

まとめ~安心して生活するためにも

PET検査は、これまで検査ができなかった脳の代謝を調べることができる貴重な手法です。
PET検査は放射線を利用しますが、ごく微量なのでほとんど体に影響はなく、PET製剤の副作用もほとんどありません。また、バリウム検査よりも低い放射線量です。
PET検査で初期のアルツハイマー病を検知できれば、早期に治療に着手でき、進行を遅らせることができるかもしれません。
そして何より、PET検査でアルツハイマー病を発症していないことが確認できれば、安心して日常生活をすごすことができます。

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