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PET検査とは?なぜ早期発見が可能なのか

Positron Emission Tomography(陽電子放出断層撮影、以下PET)については、多くの人が「がんの早期発見」というイメージを持っているのではないでしょうか。

PET検査を受けたことで、それ以外の検査では見つけられなかったはずのがんが見つかり、超早期の治療に取りかかることができた方は多くいます。

ただし、「どのようながんでも発見できる万能な医療機器」ではありません。

この記事では、PETの仕組みを解説したうえで、PET検査を受けるときの注意点などを紹介します。

 

PETの仕組み:どのようにがんを見つけるのか

PETの仕組みを端的にまとめるとこのようになります。

・受診者に「がんの栄養となるブドウ糖」を中心とした薬剤を静脈血管に投与して、がん細胞が「ブドウ糖」を食べる仕組みを利用してがんを発見する検査装置です。

PETはアメリカで開発され当初は脳の機能を研究する目的で使用されていました。

詳しく解説していきます。

食欲旺盛ながんに「エサ」を与える

がん細胞も正常細胞と同じように、ブドウ糖を栄養にして生存しています。ただ、がん細胞は正常細胞の3倍のブドウ糖を食べるといわれています(消費します)。

この習性を利用して、ブドウ糖に似た成分の検査薬「FDG」を、受診者の静脈に注射して投与します。

受診者の体内にがん細胞があれば、がん細胞はFDGを積極的に消費します。つまり、がん細胞に大量のFDGが取り込まれることになります。FDGが集積した部位からはγ線が発生するため、これを画像化してがんを特定していきます。

CTによって画像化できて場所が特定できる

最近ではほとんどのPET装置にCTの機能が搭載されていてます。PETでは多くのFDGが集積した部位から出されるγ線を画像化できますが、詳細な部位の特定が困難なためCT画像を重ね合わせることで、どの部位にFDGが集積しているか、つまりはどの部位にがんの可能性があるかなどが分かります。

ただし、FDGが集積している、イコールがんではありません。炎症を起こしている箇所に対してもFDGは集まってきます。炎症なのかがんなのかは放射線科専門医が画像をみる(読影といいます)ことでわかることもあります。また、原因を特定するために、後日さらに検査を追加することもあります。

PETが優れている点

がんを「見つける」、がんを「見る」という機能は、PETだけでなく、CTやMRIにもあります。

PETがCTやMRIより優れているのは、がん細胞の活動状況がわかることです。PETなら、良性腫瘍なのか悪性腫瘍なのかの鑑別も可能です。

CTやMRIは、がんの形はわかりますが、細胞の活動状況まではわかりません。

PETの優れた点を箇条書きにしてみます。

1:がんの活動状況がわかる

2:一度の撮影で全身のがんがわかる

3:副作用がほとんどない

4:受診者の負担が小さい

1は上記のとおりですので、2~4について説明します。

なぜ全身のがんがわかるのか

検査薬のFDGは血液にのって全身を巡ります。体内のどこにがん細胞があったとしても、そのがん細胞はFDGを取り込むことができます。

そのため、PETは全身のがんを見つけられるポテンシャルを持ちます。

PET検査で一度に撮影する部位は、眼窩といって目の下あたりから鼠径部といって大腿の付け根あたりまでです。従って一度の撮影で、肺がん、食道がん、肝臓がん、胃がん、大腸がんなど、さまざまな臓器、器官のがんを見つけることができます。それぞれに部位が違ったがんである重複がんや原発不明がん、転移・再発などの状況もとらえることができます。

原発不明がんは、がんの発生源である原発が分からなければ治療ができません。PETによって原発巣が特定でき、確定診断に至ると治療方針が決まります。

なぜ副作用がほとんどないといえるのか

FDGはブドウ糖と似た成分なので、体が拒絶反応を示すことはほとんどありません。アレルギー反応が出ることもほとんどありません。

ただし、FDGはγ線を発生します。このγ線により体内被ばくはありますが、物理的半減期といってこのγ線は2時間で殆ど体から出なくなり消失します。

CTが組み込まれたPETの場合、CTによるX線ひばくもあります。ただ、PET検査による放射線の被ばく量は、多くの方が法定健診で受けている胃のX線検査(バリウム検査)より少ないレベルです。従ってPETで放射線障害がおきることはないとされています。

なぜ受診者の負担が小さいといえるのか

PET検査における侵襲(体を害すること)は、FDGを投与するときの注射だけです。あとは、受診者さんは横になってPET装置のなかに入るだけです。

PETに対する勘違い:万能機械ではない

インターネット情報などで「PETはどのようながんでも見つけることができる」といった文句を見聞きしたことがある方は、PETを過大評価しているかもしれません。

PETは決して、すべてのがんを100%発見できる機器(あるいは検査装置)ではありません。

PETが見つけられる最小のがんは0.5cmほどです。つまりこれより小さながんは発見できないということになります。

また、がん細胞のなかには、FDG(ブドウ糖)をあまり栄養として消費しないものもあり、そのようながんはPET検査でも検知できないことがあります。

但し、CTやMRIで見つけられなかった0.5cmサイズからのがんの発見は、超早期発見に分類され、その後の治療の効果がかなり期待できます。

さらにPETに加えてCTやMRIを受けることで、PETの欠点を補うことができます。

人間ドックでがんを見つける検査にさまざまな種類があるのは、1つの検査ですべてのがんを100%発見できる検査がまだ開発されていないからです。

がんを早期に発見するには、さまざまな検査による総合力が必要になります。

PET検査の流れ

PET検査は、検査をする6時間前から準備を始め、検査自体は1時間半ほどかかります。

全体の流れを紹介します。

・6時間前から絶食

PET検査開始の6時間前から、絶食します。食事をしてしまうと、がん細胞が食材のなかのブドウ糖を消費してしまい、FDGをあまり消費しなくなってしまうからです。

糖分を含まない水やお茶は飲むことができます。

・検査薬FDGの投与

問診票を記入したら、FDGを注射器で静脈に投与します。

・1時間待つ

FDGが全身に行き渡るまで、1時間ほど安静にします。

・PET検査

PET装置のなかに入ります。撮影は20分ほどで終了します。

これでPET検査は終了します。

脳の病気がわかることもある

脳の細胞は、正常細胞でも大量のブドウ糖を消費します。そのため、PET検査では脳細胞レベルの情報を多く集めることができます。

脳の局所の代謝の状態がわかるので、どの部位で脳の機能の低下が疑われるかどうかが判定できます。

また、脳内の神経細胞の活動状況を把握できるので、てんかんの病巣を発見できたり、アルツハイマー病のリスクを把握できたりします。

まとめ~頼りにしつつも、過信は禁物

PETが優れた検査機器であることは間違いありません。PET検査は、多くの人の早期がんを見つけ、その人たちを早期治療に導いています。がん患者さんの生存率は、早期発見による早期治療によって高くなるので、PETが多くの方の命を救っているといっても大げさではないでしょう。

ただ、PETにも限界があり、検出できないがんもあります。特に胃部、腎臓などはFDGがもともと集まりやすい部位でがん細胞がみつけつらいとされています。PETだけを受けていればいいというような安易な考えは禁物です。

PETの有効性をさらに高めるためにも、各種検査を組み合わせた人間ドックのコースを選択し、がん予防、健康寿命に取り組んでいきましょう。

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