効率的な仮眠で脳のパフォーマンスが向上!ベストな仮眠の時間帯と長さ
健康長寿たっぷり眠ったつもりでも、午後になると眠気が生じるという方は多いのではないでしょうか。日中に眠気を感じるのは、睡眠不足や睡眠負債によるものです。疲れた脳をリフレッシュさせ、仕事の効率を上げるには仮眠が有効といわれています。近年は、パワーナップ(積極的仮眠)(※1)に注目している企業も増えてきました。
そこで、今回のコラムでは、職場や家庭でできる仮眠の効果と適切な仮眠の取り方についてご紹介します。
※1:パワーナップとは、社会学者ジェームズ・マース氏が提唱した短時間の仮眠を仕事のパフォーマンスアップにつなげようという試みで、Googleやアップル等の世界的企業ではオフィスに仮眠スペースを設けるなど積極的に取り入れる動きがあるようです。
日中に眠気を感じるのはなぜ?
午後になると眠気に襲われるのには、以下の原因が考えられます。
まず、眠くなるタイミングとは、夜だけではなく、午後14時~16時ごろにも訪れます。これは、人間の生体リズムです。
特に食後に眠くなるのは、脳内にあるニューロンという物質の活動が関わっています。ニューロンが働いているときは、覚醒と深い関わりのあるオレキシンという物質が分泌されますが、ニューロンが活動していないときは覚醒効果が得られずに睡眠状態になるのです。
食後には血糖値が上がりますが、血糖値が上がることでニューロンの活動が止まり、オレキシンが分泌されなくなるので、昼食後に眠くなってきます。そのため、食後に眠くなるのは、誰にでも起こりえる現象です。
しかし、人間の生体リズムや食後だからという理由のほかに、先述したとおり、睡眠不足も要因のひとつです。人には7~9時間の睡眠が必要と言われていますが、ちなみに経済協力開発機構が調査したところ、日本人の平均睡眠時間はOED加盟国の中でも最も短く、6時間27分でした。必要な睡眠時間が取れていなければ、日中に眠くなるのも仕方がないことかもしれません。
仮眠の効果とは?
昼寝をすると、どんな効果が得られるのでしょうか?以下はさまざまな研究で実証されている効果です。
・疲労感が軽減される
・覚醒作用がある
・認知力や注意力が高まる
・仕事へのモチベーションを維持、または作業効率がアップする
朝起きてから忙しく働いている脳にとって仮眠は大きな休息となります。とりわけ、経営者は脳をフルに使う仕事が多く、自覚していなくても疲労が蓄積されているでしょう。そこで、一日の途中で仮眠することで疲労感を少しでもとりのぞければ、仕事の効率が高まることが期待できます。
厚生労働省が発表した睡眠に関する指針の中にも短時間の昼寝の効果について記載されています。また、NASAやGoogleなどの企業や機関による研究でも、パワーナップ(積極的仮眠)は記憶力や注意力の向上に効果があることが実証済です。
適切な仮眠の取り方
ここでは、仮眠のポイントをご紹介します。
仮眠に最適な時間帯と長さ
質の良い仮眠をとるために大切なポイントは、仮眠する時間帯と長さです。この2つのルールを守ることで、昼寝をしてもスッキリと目覚められるでしょう。
まず、仮眠効果が高まる時間帯は、起床から8時間後くらいとされています。例えば7時に起きる方であれば、午後3時ごろが仮眠のベストタイミングです。脳を本能的に休ませようとするこのタイミングを逸してしまい、夕方以降に仮眠を取ると、夜間の睡眠リズムに影響が出てしまうので注意しましょう。
つぎに最適な仮眠時間は15~20分です。20分以上の昼寝は、身体が熟睡モードに切り替わってしまい、寝覚めが悪くなります。午後の後半スッキリとした脳でテキパキと作業するには、短時間の睡眠がポイントです。
良質な仮眠を取るコツ
仮眠に最適な時間帯と長さが分かりましたが、ここでは仮眠の効果を最大限に引き出すコツをご紹介します。
・横にならない
仮眠では、あえて座ったままの姿勢で眠ることをおすすめします。横になってしまうと、身体が本格的に熟睡するモードに入ろうとするので、スッキリと寝覚めることができません。横にならない状態ならば、首にある交感神経節が適度に刺激されるので、熟睡するのを防いでくれます。椅子の背もたれやクッションなどを利用して、ゆったりとした体勢で仮眠しましょう。
・心地よいホワイトノイズ
話し声が聞こえたり、逆に静まりかえったりしている環境では、寝つけない場合があります。眠りを促すのに効果的な音がホワイトノイズです。ホワイトノイズとは風や雨の音のような耳に心地よい雑音のことです。騒がしい場所で仮眠を取るときは、YouTube などで眠りを誘うような心地よい音楽を聴くとよいでしょう。
・仮眠前のカフェイン摂取
15分程の昼寝でスッキリと目覚めるには、仮眠前にカフェインを含むコーヒーや緑茶などの飲み物を飲むのも良いかもしれません。仮眠している間に血液中のカフェイン濃度が高まり、覚醒しやすくなるとされています。カフェイン効果は30分程で発揮されるため、仮眠前に飲んでおくとちょうど起きる頃に覚醒されるでしょう。
日中に眠くなるのは、身体の自然な欲求です。眠気がきたときには、むりに我慢せずに、15分くらいの仮眠を取ることをおすすめします。とくに大事な仕事を控えているときなどは、仮眠することで仕事が予想以上にスムーズに進められるかもしれません。また午後の運転中に眠気を感じた場合は、車を安全な場所に停めて、ベストな仮眠環境が整う車内で短時間の仮眠をとるようにしましょう。
日々の生活の中で、仮眠を習慣にして、仕事のパフォーマンスをより向上させてみませんか?