子供や孫に伝えたいお金のこと 考え方や具体的な方法をアドバイス
その他近年、子どもへの金融教育の重要性が高まってきています。文部科学省の新学習指導要領で「資産形成」が新たに加えられ、2022年度から高校家庭科の中で「資産形成」が学習されることになりました。
しかし、幼少期から家庭内でお金の教育をする欧米諸国に比べ、日本では親世代に金融の知識が乏しく金融リテラシーは低いと言われているのが現状です。子ども向けの金融教育もまだ十分とはいえない中、親が子どものできることとして、お金との付き合い方を教える重要性は高まってきています。
まずはお金との正しい付き合い方を知るところから
最近はキャッシュレス化が進み、実物の紙幣や硬貨に触れる機会も減ってきました。子ども自体が、交通系ICを使って学校に行ったり、電子マネーで買い物をするのが当たり前になっています。オートチャージ設定にしていれば無尽蔵にお金が使え、結果としてお金を使いすぎてしまうといった危険性があります。
こうした危険性を避けるために、まずは実際にお金を使う機会を与える必要があります。昔の人がやっていたように、現金で買い物をしてお金の重みを感じる経験をさせることが大切です。なんでも買えてしまう魔法のカードは存在しないということ、モノにはそれに応じた価格が決まっており、その価格を支払うことでモノを購入できるというお金の本質的な部分をしっかり学ぶことがマネーリテラシーの基本となります。
お金と「価値観」を考える
また、単にお金を使うだけでなく、自分にとって必要なものにお金を使うための素養を身に付ける必要があります。そのために明確にしておかなければいけないのが「価値観」です。お金はお金を使う人の鏡のようなものです。どんな食事にお金を使うのか、趣味や勉強にお金を使うのか、自分のために使うのか、それとも他人を喜ばせるために使うのか、お金の使い方一つでその人の性格まで分かることがあります。
まずは、一緒に買い物に行って子どもの欲しいものを一緒に探しましょう。欲しいものを前にして、その価格を支払う価値があるかどうかを考えさせてみるのです。そしてすぐには購入せず、一度家に帰ってネット上で価格を調べてみるのも良いでしょう。フリマアプリなどでも同じように見えるものでも価格が異なったりしています。あるモノに欠陥がある分安く買える場合にそれでも買いたいのか、それよりも価格が高くても良いから新品が良いのかを考えてみると何を大事にしたいのかが見えてきます。
さらに、クレジットカードでの支払いを積み重ねることで信用を積み重ねることができます。借金を期日内に返済できる能力が信用を高めるのであり、そのためには次のお金を使う計画をしっかり立てることが大事であることを伝えていきましょう。
お金を使う計画を立てさせる
信用を作るためにもお金は計画的に使う必要があります。目先のことだけにお金を使っていれば将来に必要なお金が足りなくなったりします。先々のことを考えてお金を管理し、定期的に見直す必要があるわけです。
将来的にはライフステージに合わせて必要な金額を試算し、貯蓄や投資を行うといった作業が必要となってきますが、ひとまず子どもに自分のお誕生日会などのイベントを仕切らせてみると良いでしょう。予算を決めてその範囲内で何にいくら使うかを考えさせるのです。そのときに自分が何にお金をかけたいのか、食事なのかケーキなのか、装飾品なのか等を一緒に考えます。考える時に基準とするのはそれにお金を使って幸せかどうか?です。自分が嬉しいからでももちろん良いですし、友達に喜んでもらいたいからということもあるでしょう。何が自分にとって大事なのか、お金を使って幸せな気分になれるのかを考える場にしましょう。
そして、買い物の計画に沿って買い物をします。忘れてはいけないのが実際にお金を使ってみた後に振り返りの時間を設けることです。計画通りにいくこともありますが、実際は予算よりも多く使ってしまった項目があったり、逆に使わなかったところもあったりで、まずは収支を確認します。
収支については、最初から細かい数字に目くじらを立てる必要はありません。予算オーバーしてしまった場合は、何がよくなかったか?予算を抑えるためにできることはなかったか?などを子どもに聞いてみましょう。日々の買い物を積み重ねていけば、モノの値段もだんだん把握してきますし、予算内での買い物も上手にできるようになっていきます。
また重要なのは、お金を使った結果、自分が得たいと思っていた幸せが得られたかどうか?を確認することです。きちんと思っていた通りの幸せが得られることが分かれば、自分がどうお金を使えば満足できるのかを経験値として積むことができるので、自然と浪費と無縁になっていきます。自分が考え、行動し、振り返ることでしっかりと習慣としてお金を大事にできる子どもに育っていくことでしょう。
お金の基本をしっかり教える
金融リテラシーの重要性は年々高まっていますが、重要なのはお金に関して当たり前のことをきちんと教えるということに尽きます。キャッシュレス決済で見えなくなっていますが、基本的にお金は働いて得る対価であり、無限ではありません。自立した生活をするためには、自分にとって大事なものや必要なことにお金を使う必要があるということです。
日々の買い物やイベントでの一時的なお金の計画ができるようになったら、お小遣いの管理をさせるのも良いでしょう。おこづかいの金額についても、何を買うためのお小遣いなのかを明確に、お小遣いの範囲を決めてから子どもにお金のやりくりをさせましょう。日々のお金の出入りを自分で管理させることで、自主的にお金について考える機会を与えることができます。もしお小遣いをすべて使わなかったら、貯金を選択肢に入れてみましょう。単に貯金箱に貯めておくのも良いですが、親が銀行代わりとなって預かったお金に対し、月利○%で利子をつけるといった仕組みを作ってみても良いでしょう。最初は普通の貯金と親に預けるのを半々にして、その違いを知って子ども自身に判断させることをおすすめします。こうした家庭内でのお金のやりとりを習慣化していくことで、家計管理や将来設計の基礎を築くことができます。