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肺がん検診とは?費用や機器について詳しく解説

肺がん検診とは?費用や機器について詳しく解説

日本人の国民病ともいわれる「がん」の一つとして、肺がんが挙げられます。一度肺がんを発病すると、長期にわたって検査や治療が必要となるケースも多く、体力的にも費用的にも負担が大きくなるとされています。

しかし、肺がんは早めに発見できれば、治療の費用も体力の負担も軽減しやすくなるため、早期発見のためにも定期的な肺がん検診は必要です。ただし、肺がん検診を受けるにあたって、どれくらいの費用がかかるのか、そもそも自分が肺がん検診を受ける必要があるのかなど気になる部分も多いのではないでしょうか。

今回は、肺がん検診の概要や検診にかかる費用、具体的な検査内容に至るまで幅広く解説していきます。肺がん検診を検討している方や、肺がんの早期発見を目指したい方は、この記事を参考にしながら検診の計画を立ててみてください。

肺がんとは

肺がんとは

そもそも肺がんとはどのような病気なのでしょうか。

肺がんとは、文字通り肺にできるがんのことです。肺の肺胞や気管支などにある細胞ががんとなり、肺がんを発病します。細胞ががん化する原因はさまざまありますが、いずれにせよ遺伝子情報に何らかの異常が生じることによってがんとなるのです。

肺がんは、発病しそのまま進行していくと、がん周囲の組織にダメージを与えていくのが特徴です。がんには軽度な順にステージ1からステージ4の段階に分けられますが、肺がんの発見が遅れ、最も深刻な状態に陥ると、がんが全身に転移してしまいます。肺がんから全身に転移する原因は、がん細胞が血液やリンパ液などに流されて、さまざまな臓器や組織などに移るためです。

肺がんを発病した場合に転移しやすい箇所としては、がんを発病したほうとは反対側の肺や、骨、リンパ節、肝臓などが挙げられます。脳に転移することもあるため、がんの転移を防ぐためにも、肺がんの早期発見は必須といえるでしょう。

肺がんに限らず、がんの発生要因として、生活習慣が大きく関わっているとされています。たとえば、普段から喫煙や飲酒などを繰り返す方や、食生活が乱れている方はがんの発病率が高い傾向です。また、運動不足や体型(肥満もしくは痩せすぎ等)によっても、がんの発生リスクは変動します。肺がんを防ぐためにも、普段の生活習慣に目を向けることは重要といえるでしょう。

肺がん検診を受けるべき人

肺がん検診を受けるべき人

肺がん検診を受けるべき人として、まず挙げられるのが日常的に喫煙している方です。肺がんを発病した方を見ると、男性の3割、女性の0.5割が、原因は喫煙だという結果があります。

喫煙習慣によって肺がんを引き起こすのは、たばこに含まれる物質が関わっているからです。たばこには発がん性物質が多数含まれており、その数はおよそ70種類にも及ぶといわれています。長い期間喫煙習慣があった方や、1日の喫煙回数が多い方は肺がんのリスクが高いため注意が必要です。

また、三親等以内にがん患者がいる方は、定期的に肺がん検診を受けることをおすすめします。三親等とは、本人から見て両親や祖父母、曾祖父母、叔父叔母、孫、ひ孫などの関係のことです。

がんのメカニズムとして、遺伝子の変異によって引き起こされるのですが、遺伝子の変異のしやすさは遺伝する可能性が指摘されています。つまり、家族や親族にがんになったことがある方がいれば、自分もがんになるリスクが十分に考えられるということです。家族・親族にがんになった方がいれば、1年に1回は肺がん検診をおこなうことをおすすめします。

仮に喫煙習慣がなく、家族・親族にがんになったことがある方がいなくても、肺がん検診を受けたほうがいいケースもあります。それは、1か月以上にわたって痰や咳、胸の痛みが続いている場合です。上記の症状は、肺がんによって引き起こされることがあります。

「そのうち治まるだろう」「ちょっと風邪をひいているだけだろう」など、自己判断で上記の症状を放置してしまうのは危険です。肺がんが進行すると上記の症状に加え、安静にしているのに息が上がったり息苦しくなったりすることがあります。急に動悸がすることもあるため、気になる症状が出てきたら早めの検査・受診が必要です。

肺がん検診の検査内容

肺がん検診の検査内容

肺がん検診の検査内容は、対策型検診と任意型検診によって大きく異なります。それぞれ、実施する目的や、基本条件、検診対象などが異なるため、自分がどちらの検査に該当するのかを把握しておかなければなりません。ここでは、肺がん検診の検査内容について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

対策型検診の場合

対策型検診は、国が主導するがんの予防対策として受ける検診です。死亡率を下げることを目的として実施されている検診であり、住民健診として市区町村が実施しています。まとまった集団からがんを発症している可能性が高い人を見つけ出し、早期の発見及び早期の治療へと結びつけることが目的です。

市区町村による住民健診のほか、職場で実施される職域検診も対策型検診の一つです。対策型検診の場合は、費用が公費で賄われているため、検診を受ける方の金銭的な負担は軽い傾向にあります。自己負担が少額で済むことが多く、場合によっては無料となることもあるため、高額な費用を払わなくても自分のがんの発病状況を確認することが可能です。

対策型検診では、がんの死亡率を下げられると証明された方法で実施されます。厚生労働省によって、科学的根拠に基づいた方法でがん検診をおこなうように定められているため、個人で検査内容を選ぶことはできません。市区町村などの検診を担う機関が決定した検査方法でがんの検診をおこないます。

具体的な検査内容は、胸部のX線検査、喀痰細胞診(痰の検査)などです。胸部X線検査では、胸部分のX線撮影をおこないます。X線を撮影する際には、大きく息を吸い込んで一旦息を止めます。X線と聞くと、放射線の影響を不安視する方もいますが、被ばくによる健康被害は今のところほとんどない状況です。

また、喀痰細胞診は、対象年齢が50歳以上です。また、喫煙指数と呼ばれる指標において、600を超える方が検討すべき検査です。ただし、喫煙においては、現在はもちろんのこと、すでにやめている方でも過去に喫煙したことがある方も喀痰細胞診の対象となります。

検査は起床したタイミングで痰をとって、専用の容器に入れてがん検査機関へ提出するだけです。痰から細胞を検査し、がんの発病状況などを調べます。

任意型検診の場合

任意型検診の場合

任意型検診とは、個人が個別で受けるがん検診のことです。自分で死亡リスクを下げることを目的に受ける検査であり、企業や自治体がおこなう検診とは異なります。費用も全額が自己負担となるため金銭的な負担が大きいです。

しかし、検査方法の選択肢が広く、検診先が提供している検査方法から自由に選ぶことができます。そのため、希望する検査方法がある場合には、対応している医療機関などで検診をおこなえば、対策型検診では実施できない検査も受けられるでしょう。

任意型検診の代表的な検査が人間ドックであり、体の異常を発見するためにも必要な検査です。自覚症状がない病気であっても見つけられるのが特徴であり、さらに検査項目も多い傾向にあります。

さまざまな検査項目をふまえ、体の異常を見つけられることから、早期発見よりもさらに先の見える検査です。肺に限らず、体全体を総合的に検査できるメリットもあります。

人間ドックと似た検査に健康診断があります。人間ドックは個人の意思でおこなう健康診断です。一方、健康診断は企業などが労働安全衛生法によって義務付けられている定期健康診断を指します。

肺がん検診にかかる費用

肺がん検診にかかる費用

肺がん検診にかかる費用は自治体や医療機関、検査の回数などによって異なります。胸部X線検査の場合は、おおよそ2,000~3,000円台程度です。X線検査を実施し、結果に問題がなければ検査はこの時点で終了となります。

しかし、胸部X線検査を実施した結果、何らかの異常が見られる場合には、喀痰細胞診も実施しなければなりません。喀痰細胞診の検査費用は、1,500~3,000円が相場です。さらに、喀痰細胞診の検査でも異常が発見された場合、さらにCT検査をおこないます。

CT検査の費用は、上記2つよりも高額であり、15,000円以上がかかるため注意が必要です。高額なケースでは30,000円以上にも及ぶため、あらかじめ費用を確認したうえで検査を受けてください。

上記をふまえ、肺がん検診にかかる費用を見てみると、安価な場合で2,000円程度、さまざまな検査が必要となり高額となるときには、30,000円程度です。

肺がん検診で「要精密検査」だった場合

肺がん検診で「要精密検査」だった場合

万が一肺がん検診で「要精密検査」となった場合、慌てずに医療機関へ受診し、適切に検査を受けることが大切です。もしかしたらがんかもしれないという状況は不安になりますが、きちんと検査を受けた結果がんが見つからなかったり、早期発見につながったりすることも考えられます。

ここからは、「何科を受診したらいいのか」「どのような検査が必要となるのか」などについて詳しく解説します。

何科を受診すべきか

肺がん検診で要精密検査という結果が出た場合には、呼吸器科・呼吸器内科のいずれかを受診してください。呼吸器科・呼吸器内科は、気官気管やのど、気管支、肺などの部分を専門とした診療科です。

主に喘息や肺炎、肺結核などの症状で受診する方が多いですが、肺がんの疑いがある方も診療対象となります。検診結果で要精密検査となった場合だけでなく、肺がんが疑われる症状(1か月以上咳や痰が続くなど)が現れたときにも、検査・診察が可能です。

肺がん検診だけではわからなかったがんの兆候や各種諸症状の原因について調べることができるため、不安な点があれば呼吸器科・呼吸器内科を受診することをおすすめします。

どのような検査が必要か

肺がん検診を実施後、要精密検査といった結果が出たときには、呼吸器科・呼吸器内科にて胸部CT検査や気管支鏡検査などの検査を実施します。胸部CT検査とは、肺の状態を撮影する検査のことです。

ミリ単位で肺をスライスして、それを画像として撮影する検査です。胸部X線検査と似ていますが、胸部CT検査のほうがより明確にがんを調べられる特徴があります。

実際に、胸部X線検査と比べて、胸部CT検査のほうが10倍近くがんの発見率が高まるとされています。また、医療機関によっては、低線量の機器を使用して検査するため、放射線による被ばくが気になる方でも安心して検査を受けられるところが少なくありません。

ただし、胸部CTは、妊娠中(もしくは妊娠の可能性がある)の方や、ペースメーカーを装着している方、血糖測定器を使用している方は受けることができません。また、金属やプラスチックなどに反応してしまうため、検査前にアクセサリーやベルトなどを外しておく必要があります。

一方、気管支鏡検査は、気管支及び肺の病気を調べるための検査です。肺カメラと呼ばれる検査でもあり、細い管を口から挿入して肺の状況を確認します。

挿入した管の先にカメラが搭載されているため、挿入しながらモニターで肺や気管支の状態を見られるのが特徴です。ただ、検査前の4時間前までに食事を済ませておく必要があります。

検査時には、不快感を軽減するために、麻酔の吸入をおこないます。ミスト状態にした麻酔薬や、スプレー式の局所麻酔薬を使用するなどで体の負担を軽減するため、「のどや肺に細い管を入れるのが不安」といった方でも比較的安心して臨めるでしょう。

最近では、全身麻酔を用いる医療機関も増えていて、眠っている間に検査が終わるように配慮してくれるケースも増えています。検査への不安が大きい方は、医療機関ごとの麻酔の考え方や麻酔の使用スタイルについて調べたうえで精密検査を依頼する場所を検討するのもよいでしょう。

なお、気管支鏡検査中は声を出すことができません。検査中に何か気になることなどがあれば、手を挙げるなどして合図を送ります。検査時間は30分ほどかかることが多く、やや時間のかかる検査でもあるためあらかじめトイレを済ませておくことも重要です。

対策型検診だけでも肺がんを早期発見できる?

対策型検診だけでも肺がんを早期発見できる?

対策型検診だけで肺がんを早期発見できるのかと疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。結論としては、対策型検診だけでは肺がんの早期発見は難しいのが現状です。

そもそも対策型検診は、肺がんに限らず、あらゆるがんのリスクを調べるための取り組みです。検診を通してリスクが高いと判断された方に、さらなるステップの検診を勧め、最終的に要精密検査となった場合に専門の医療機関での検査を進めています。

対策型検診は、がんの疑いがある方を見つけ出す段階であり、がんを見つけることが目的ではありません。しかし、対策型検診で異常が見られたのをきっかけに、医療機関へ受診するケースも多いため、肺がんの早期発見につなげることは十分可能です。肺がんの早期発見ができれば、完治しやすいうえに、治療における体への負担や金銭的な負担も少なく済むため、定期的に対策型検診などを受けることは大切だといえるでしょう。

まとめ

肺がんの検診費用や、検診の内容、検診で使用する機器などについて詳しく解説

今回は、肺がんの検診費用や、検診の内容、検診で使用する機器などについて詳しく解説しました。肺がん検診が初めての方にとって、どのように検診がおこなわれるのかは気になります。

どこで検診を受けられるのか、いくらかかるのかなどあらかじめ把握しておかないと、そもそも検査を受けることができません。肺がん検診について、基本的な内容をおさえたうえで検診を検討する必要があります。

また、万が一肺がん検診にて、要精密検査といった結果が出たときに備え、その後の対応についても理解しておきましょう。慌てず速やかに行動できるよう、今回ご紹介した内容を踏まえて、精密検査の受診先を決めておいたり検査内容について理解を深めたりしておくことをおすすめします。

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