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生活習慣病のおもな種類と原因は?それぞれの予防方法も解説

生活習慣病のおもな種類と原因は?それぞれの予防方法も解説

「長年にわたり生活習慣が乱れている」
「健康診断で要観察の項目があった」
このようなきっかけで、将来の健康に不安を感じている方も多いことでしょう。

生活習慣病は誰にでも起こりうる身近な病気で、さまざまな種類があります。放置すると重大な合併症や命に関わるケースもありますが、その多くの種類は生活習慣の改善によって発病や進行を防ぐことが可能です。

この記事では、生活習慣病の種類とそれぞれの原因や症状、そして予防方法について解説します。生活習慣病のおそれがあるといわれた方や、健康のために生活習慣を整えたいと考えている方は、ぜひ最後までお読みください。

生活習慣病とは

生活習慣病とは

生活習慣病とは、日常の生活習慣が原因となって発症する病気の総称です。偏った食生活、運動不足、睡眠不足や休養の欠如、過度の飲酒、喫煙などの不健康な習慣が大きく関与します。さらに発症には生活習慣だけでなく、遺伝的要因や、家庭・職場などの社会環境的な要因も深く影響します。

生活習慣病のおもな種類と症状

生活習慣病のおもな種類と症状

次に、生活習慣病のおもな種類と症状についてそれぞれ見ていきましょう。

がん

がんは、日本人の死因として一番多い疾患です。なかでも肺がんや大腸がんは、喫煙習慣や食生活などの生活習慣との関わりが大きいとされています。

症状はがんの種類や進行度によって異なり、脱毛、痛み、しびれ、体重減少、血痰、便通異常など多岐にわたります。進行すれば致死的な症状をもたらすことも少なくありません。

がんは多くの要因が複雑に絡み合って生じるため、完全に予防することは難しいものの、禁煙や食生活の改善、適度な運動でリスクの低減を目指せます。また、定期的に検診を受け早期発見につなげることで、身体的・経済的負担の少ない治療を選択できます。

虚血性心疾患

虚血性心疾患は、心臓の筋肉に血液を送る「冠動脈」が狭くなったり詰まったりする疾患の総称です。代表的なものに、冠動脈が狭くなる狭心症や、冠動脈が突然閉塞して心筋が壊死する心筋梗塞があります。

虚血性心疾患は、高血圧や脂質異常症、喫煙、糖尿病といった要因がリスクを高め、突然の胸痛や息切れ、胸の圧迫感、冷や汗、動悸などの症状が特徴的です。疲労感や倦怠感など一時的な不調と捉えられることもありますが、重篤な場合は命に関わる疾患です。

脳卒中

脳卒中は脳の血管が破れたり詰まったりすることで起こる疾患の総称です。脳出血、脳梗塞、くも膜下出血の3種類があり、血管どのような異常が起きたかや場所によって分類されます。いずれも高血圧や糖尿病などの動脈硬化を引き起こす生活習慣病が危険因子となりやすく、予防や改善のためには生活習慣を整えることが重要です。

重度の脳卒中では、激しい頭痛、手足の麻痺やしびれ、言語障害、嘔吐、意識障害などが出現する場合があります。後遺症として運動麻痺や言語障害が残ることも多く、社会生活に大きな影響を及ぼします。

糖尿病

糖尿病は、血糖値を下げる「インスリン」というホルモンが十分に作用しないことにより、血糖値が慢性的に高くなる生活習慣病です。インスリンの作用が不足する要因によって1型と2型に分類され、とくに2型の発症において生活習慣が大きく関係するといわれています。一度発症すると根治は難しく、生涯にわたる食事管理や血糖コントロールが必要です。

放置すれば動脈硬化が進み、脳卒中や虚血性心疾患のリスクを高めます。さらに、神経障害、腎症、網膜症といった「三大合併症」を引き起こし、視力障害や透析が必要になることもあります。症状としては喉の渇き、多尿、体重減少、手足のしびれなどが特徴的です。

高血圧

高血圧は、血圧が高すぎる状態が続くことで、診察室で測った血圧が140/90mmHg以上あることが基準となります。塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、ストレスなどがおもな原因です。

多くの場合、自覚症状がないため「サイレントキラー」と呼ばれ、気づかないうちに心臓や脳、腎臓に負担をかける要因となります。極端に高い血圧では頭痛、めまい、耳鳴り、むくみなどが出現します。血管を傷つけ動脈硬化の要因ともなり、放置すると脳卒中や虚血性心疾患、腎不全などにもつながります。

脂質異常症

脂質異常症は、血液中の悪玉コレステロール(LDL)、善玉コレステロール(HDL)、中性脂肪の量が必要以上に増えたり減ったりして、バランスが崩れている状態を指す疾患です。発症には食生活の乱れ、肥満、運動不足、飲酒など生活習慣が関係しているといわれています。

自覚症状はないものの、動脈硬化を進める要因となり、脳卒中や虚血性心疾患のリスクを高めます。

高尿酸血症

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が基準値より高くなる状態です。症状が進行すると尿路結石や痛風発作を起こし、関節に激しい痛みを伴います。

また、高尿酸血症が続くことで、腎不全をはじめとした腎疾患のリスクも高まります。高血圧、糖尿病、脂質異常症などほかの生活習慣病を合併することが多く、早期の発見・治療が重要です。

肝硬変

肝硬変は肝臓の細胞が炎症や壊死を繰り返すことで硬く変化し、肝機能が低下してしまう生活習慣病です。おもな原因は過度の飲酒、ウイルス性肝炎、脂肪肝などです。

初期には症状がほとんどありませんが、進行するとむくみ、黄疸、腹水、倦怠感、意識障害などが出現します。重度になると肝不全や肝がんへと進展する危険もあります。

慢性腎不全

慢性腎不全は腎臓の働きが徐々に低下し、老廃物を排泄できなくなってしまう生活習慣病です。糖尿病や高血圧、肥満などが原因となり発症することが多くあります。

初期には自覚症状が乏しいものの、進行すると尿量の変化、むくみ、貧血、倦怠感などが現れます。末期には人工透析や腎移植が必要となる場合もあるため、早い段階で進行を抑えることが重要です。

肥満症

肥満症は、BMIが25kg/m²以上で、さらに糖尿病や高血圧、脂質異常症などの健康障害を合併している場合に診断されます。おもな原因は食べ過ぎや運動不足で、単なる体重過多と捉えられることもありますが、生活習慣病の発症リスクを高める因子です。過度の内臓脂肪が付着すると動脈硬化や糖尿病の発症にも関わります。

生活習慣病の発症率ランキング

生活習慣病の発症率ランキング

生活習慣病の種類はさまざまですが、発症率はどの順番で高いのか見てみましょう。日本生活習慣病予防協会の調査(2023年)による、おもな生活習慣病の発症数ランキングは以下になります。

1位:高血圧

2位:糖尿病

3位:脂質異常症

4位:虚血性心疾患

5位:脳卒中

6位:慢性腎不全

参考:日本生活習慣病予防協会「生活習慣病の調査・統計」

これらの生活習慣病は多くの人に見られ、健康寿命を縮める大きな要因となり得ます。

日本人の死因の約50%を占めるがん・虚血性心疾患・脳卒中は「三大生活習慣病」と呼ばれ、これに糖尿病・高血圧・肝硬変・慢性腎不全を加えたものが「七大生活習慣病」と呼ばれています。

いずれも生活習慣の改善や定期検診による予防が欠かせません。

生活習慣病の原因

生活習慣病の原因

生活習慣病を引き起こす原因として、おもに以下が挙げられます。

日常生活でこれらに当てはまる行動をしていないかをチェックしてみてください。

  • ・食生活の乱れ
  • ・運動不足
  • ・休養不足
  • ・喫煙習慣
  • ・過度な飲酒
  • ・孤独な環境

食生活の乱れ

食生活の乱れは生活習慣病の大きな原因の一つです。炭水化物や脂質に偏った食事、揚げ物やファストフードの多用、濃い味付けを好む食習慣は、高血圧や脂質異常症を招きやすくなります。

また、甘いジュースやお菓子などの過剰摂取は肥満や糖尿病のリスクを高めます。野菜や果物をほとんど摂取しないことも、ビタミンや食物繊維不足につながり、代謝機能の低下を引き起こします。さらに、夜遅くの飲食や間食が習慣化すると、エネルギー消費が追いつかず、肥満の原因となるため注意が必要です。

運動不足

現代社会では車や公共交通機関での移動が多く、運動不足に陥りやすい傾向があります。週に30分以上の中等度の運動を習慣的におこなわない人は、肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症を発症しやすいと言われているほどです。運動不足によって全身の筋肉量が減少すると基礎代謝も低下し、脂肪が蓄積しやすくなるため、生活習慣病のリスクはさらに高まります。

休養不足

休養不足も生活習慣病の大きな要因です。睡眠時間が不十分であったり、質の良い休息が取れていなかったりすると、自律神経のバランスが乱れ、血圧や血糖値の調整機能が低下します。さらに、仕事や家事で休む間もなく過ごすことはストレスの蓄積につながり、うつ症状や暴飲暴食の原因にもなります。

喫煙習慣

喫煙は肺がんをはじめとするさまざまながんのリスクを高めるだけでなく、虚血性心疾患や脳卒中にも大きな影響を及ぼします。タバコには数百種類以上の化学物質が含まれ、その中には多くの発がん性物質があるのが特徴です。

そのなかでも、ニコチンは血管を収縮させ血圧を上昇させる作用があり、活性酸素が細胞を酸化させて老化や疾患を加速させます。喫煙者は非喫煙者に比べて生活習慣病のリスクや死亡率が格段に高いといわれています。

過度な飲酒

適度な飲酒はリラックス効果などもありますが、毎日の多量飲酒は肝硬変や慢性腎不全、脳卒中などの原因となりやすいです。アルコールは血圧上昇や中性脂肪増加を引き起こし、虚血性心疾患や脂質異常症のリスクを高めます。特にアルコール依存症の人は自己管理が難しく、臓器障害を進行させやすい傾向にあります。

孤独な環境

近年の研究では、孤独や社会的孤立も生活習慣病の発症リスクを高めることがわかっています。孤独な状態はストレスホルモンを増加させ、免疫力を低下させます。

また、生きがいや社会での役割を感じられないと、不健康な生活習慣に陥りやすく、食生活の乱れや運動不足、飲酒の増加などの悪循環に至ることもあるのです。社会的なつながりを持ち、コミュニティに参加することは、心身の健康維持に大きく貢献します。

生活習慣病の予防方法

生活習慣病の予防方法

生活習慣病を予防するためには、以下の方法を取り入れましょう。それぞれ詳しくご説明いたします。

  • ・バランスの良い食事を摂る
  • ・適度な運動習慣をつける
  • ・十分に休息する
  • ・禁煙する
  • ・飲酒の量をおさえる

バランスの良い食事を摂る

生活習慣病を防ぐためには、栄養バランスの取れた食事が基本です。規則正しく1日3食を心がけましょう。

食事の内容としては、主食・主菜・副菜をそろえ、野菜や果物、乳製品、豆類、魚などをまんべんなく取り入れることが大切です。

塩分の摂取量は1日6g未満を目安にし、脂質はオリーブオイルや青魚などに含まれる不飽和脂肪酸を意識して摂りましょう。

適度な運動習慣をつける

運動は生活習慣病の予防に欠かせない習慣です。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を1日30~60分、週に3回以上おこないましょう。また、スクワットやダンベル運動などの筋力トレーニングを週2~3回取り入れることも効果的です。

基礎代謝が上がり、生活習慣病の予防につながります。

十分に休息する

心身を健康に保ち、生活習慣病のリスクを抑えるためには、十分な休養も重要です。6〜8時間の睡眠時間を確保するようにしましょう。

また、仕事の合間に小休憩を挟んだり、休日には無理をせず体を休めたりして、肉体的疲労や精神的ストレスを溜めないよう工夫することが大切です。

禁煙する

禁煙をすることで、呼吸器疾患をはじめとしたさまざまな病気のリスクが確実に下がります。禁煙後10~15年経つと、病気にかかる危険性が非喫煙者とほぼ同じレベルに近づくこともわかっています。

禁煙は生活習慣病を予防するために最も重要な取り組みの一つです。煙草を吸うことが習慣となっている方は、禁煙することをおすすめします。

飲酒の量をおさえる

生活習慣病を防ぐために、お酒は適量を守ることが大切です。1日の目安は純アルコール20gまでとされ、ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス1杯程度です。

お酒飲みすぎは多くの臓器に大きな負担をかけるため、節度ある飲酒を意識しましょう。

生活習慣病の種類に関するQ&A

生活習慣病の種類に関するQ&A

最後に、生活習慣病の種類に関してよくある質問にお答えします。

生活習慣病の治療方法は何ですか?

生活習慣病の治療方法は、対象の疾患によりさまざまです。たとえば高血圧や糖尿病、脂質異常症などでは、まず食事療法や運動療法などの生活改善が基本となり、状態に応じて薬物療法もおこないます。がんの治療では放射線治療や手術なども選択される場合があります。

生活習慣病は完治するのですか?

生活習慣病は、症状が落ち着いていても再発や合併症のリスクがあり、完治することが少ないといえます。生涯にわたって治療や定期的な検診、生活習慣の見直しなどの自己管理が必要です。

まとめ

生活習慣病とは不健康な生活習慣や環境要因が重なって発症する病気の総称

生活習慣病とは、不健康な生活習慣や環境要因が重なって発症する病気の総称で、種類によっては命に関わる深刻な合併症を招くこともあります。食事や運動、睡眠、禁煙、節酒などの基本的な生活習慣の改善によって、発病や進行を抑えることが可能です。

日々の小さな生活習慣の改善が、将来の大きな病気を予防することにつながります。できることから1つずつ実践していきましょう。

また、生活習慣病のなかには、自覚症状が乏しく気付きにくい疾患もあります。定期的に健康診断や人間ドックを受けることで、早期発見・早期治療を目指しましょう。

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