高血圧のリスクとは?放置すると危険?予防法や改善方法も解説

健康診断や人間ドックで高血圧を指摘されたものの、「自覚症状もないし、たいしたことはないだろう」と、そのままにしている方もいるのではないでしょうか。
しかし、高血圧は放置することでさまざまな病気のリスクがあるため注意が必要です。
この記事では、高血圧のリスクや放置することでの危険性、予防方法、高血圧の改善方法などを解説します。
高血圧を放置することによるリスク

高血圧を放置するリスクは、血管異常を原因とする重篤な病気を発症しやすくなることです。
高血圧は動脈硬化を引き起こす原因の1つです。動脈硬化は動脈が弾力性を失って硬くなった状態であり、進行すると脳出血・脳梗塞や心筋梗塞、大動脈瘤といった命をおびやかす病気を発症する可能性があります。
高血圧は健康診断の結果などで目にする機会が多く、軽く受け止められやすいですが、重篤な病気に発展するリスクもあることを知っておきましょう。
血圧の正常値と高血圧の基準値
血圧とは、血管内を流れる血液が血管の内壁を押す圧力のことです。血圧が正常な範囲より高い状態を「高血圧」、低い状態を「低血圧」と呼びます。
血圧はすべての血管に存在しているものの、静脈の血圧は安定して低い(5~10mmHg)ため、一般的には動脈の血圧を「血圧」と呼びます。血圧測定で使われるのは、心臓と同じ高さにある上腕動脈の血圧です。
血圧には「収縮期血圧(上の血圧)」と「拡張期血圧(下の血圧)」の2種類があります。
収縮期血圧は心臓が収縮して血液を送り出すときの圧力で、「心臓がどの程度の力で血液を送り出すか」で血圧が決まります。
もう1つの拡張期血圧は、収縮後の心臓が血液を溜め込むために拡張しているときの圧力で、「大動脈の柔軟性」で血圧が決まる仕組みです。
成人における血圧の値は、以下の表のとおりに分類されます。
| 血圧の分類 | 診察室血圧(単位:mmHg) | 家庭血圧(単位:mmHg) |
| 正常血圧 | 収縮期血圧120未満 かつ拡張期血圧80未満 |
収縮期血圧115未満 かつ拡張期血圧75未満 |
| 正常高値血圧 | 収縮期血圧120~129 かつ拡張期血圧80未満 |
収縮期血圧115~124 かつ拡張期血圧75未満 |
| 高値血圧 | 収縮期血圧130~139 または拡張期血圧80~89 |
収縮期血圧125~134 または拡張期血圧75~84 |
| I度高血圧 | 収縮期血圧140~159 または拡張期血圧90~99 |
収縮期血圧135~144 または拡張期血圧85~89 |
| II度高血圧 | 収縮期血圧160~179 または拡張期血圧100~109 |
収縮期血圧145~159 または拡張期血圧90~99 |
| III度高血圧 | 収縮期血圧180以上 または拡張期血圧110以上 |
収縮期血圧160以上 または拡張期血圧100以上 |
| (孤立性)収縮期高血圧 | 収縮期血圧140以上 かつ拡張期血圧90未満 |
収縮期血圧135以上 かつ拡張期血圧85未満 |
参考:公益財団法人 日本心臓財団「高血圧治療ガイドライン・エッセンス」
診察室で血圧を測定した場合、血圧の正常値は収縮期血圧120mmHg未満かつ拡張期血圧80mmHg未満です。
対して、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上になると、高血圧(I度~III度など)と診断されます。
また、高血圧の状態が恒常的に続く場合は、「高血圧症」という病名で呼ばれます。
なお、低血圧は明確な基準値がないものの、一般的には収縮期血圧が100mmHg以下の場合に診断されるケースが多い傾向です。
高血圧が発症リスクにつながる病気

高血圧を放置することで発症リスクが高まると考えられる病気を、具体的に紹介します。
脳卒中
脳卒中は、脳の血管が閉塞したり破裂したりすることで、脳の機能が障害される病気の総称です。
主な病気には、脳の血管に血栓ができて血流が滞る「脳梗塞」や、脳内の細動脈が破裂して出血する「脳出血」、脳動脈瘤という血管のコブが破裂して出血する「くも膜下出血」があります。
高血圧と動脈硬化は脳卒中の危険因子として知られており、高血圧を放置すると脳卒中になるリスクが高まります。
心疾患
心疾患は、心臓に発生する病気の総称です。
高血圧によって発症リスクが高まる心疾患には、冠動脈が血栓などで閉塞して心筋が壊死する「心筋梗塞」や、冠動脈が狭くなって心筋に酸素や栄養が届かなくなる「狭心症」などがあります。
高血圧や動脈硬化が心臓に悪影響を与えるのは、心臓が血液を全身に送り出す臓器であるためです。高血圧や動脈硬化によって血管が狭くなると、より強い力で血液を送り出す必要があり、心臓に強い負担がかかってしまいます。
大動脈瘤
大動脈瘤は、心臓から全身へと血液を送るための太い血管「大動脈」にできる、コブ状の病変のことです。大動脈の壁が弱くなっている部分に発生するもので、高血圧や動脈硬化などが発症の原因であると考えられています。
大動脈瘤が進行すると、コブが周囲の臓器や神経を圧迫して、嗄声(しわがれ声)や誤嚥、胸痛などを引き起こすことがあります。さらに、大動脈瘤が破裂すると体内で大量出血を起こし、ショック状態や最悪の場合は死に至る危険性もあります。
腎硬化症
腎硬化症は、腎臓に流れる血液量が減って腎機能に障害が発生する病気です。腎臓への血液量が減る原因は、長期間の高血圧によって腎臓の血管に動脈硬化が発生するためと考えられています。
腎硬化症が進行すると、腎機能が低下して腎不全に発展します。腎臓は血液中の老廃物を取り除く臓器であり、腎不全になると尿毒症や高カリウム症状を起こします。
高血圧性網膜症
高血圧性網膜症は高血圧症の合併症です。眼底検査をおこなうことで発見されます。
具体的な症状は、網膜からの出血や血柱反射の亢進(血管の光の反射が強くなる)、動静脈交叉現象(網膜の動脈が静脈を圧迫する)などです。
高血圧性網膜症が進行すると、視力低下や視野の欠けが起こり、最悪の場合は失明するおそれもあります。
高血圧の種類と危険因子および原因

高血圧には「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の2種類があります。
本態性高血圧は、血圧上昇の原因を1つに特定できない高血圧のことです。対して、二次性高血圧は血圧上昇につながる明確な原因(病気など)が存在するという違いがあります。
以下では、本態性高血圧と二次性高血圧のそれぞれについてどのような危険因子や原因があるかを解説します。
本態性高血圧の危険因子
本態性高血圧の発症につながる危険因子は以下のとおりです。
- • 加齢
- • 肥満
- • ストレス
- • 運動不足
- • 睡眠不足
- • 喫煙
- • 過度な飲酒
- • 塩分過多
- • 遺伝
- • 糖尿病
- • 脂質異常症
これらの多くは現代人の生活習慣に起因していて、誰でも発症する可能性があります。実際、日本人の高血圧の90%は本態性高血圧であるといわれています。
特に経営者は加齢・ストレス・運動不足・睡眠不足といった危険因子にさらされることが多いため、本態性高血圧に注意すべきでしょう。
二次性高血圧の原因
二次性高血圧の原因には、腎臓病やホルモン異常、薬剤の副作用などがあります。病気によって体内の塩分・水分調整ができなくなったり、血圧上昇を促すホルモンが過剰に分泌されたりすることで高血圧になってしまうのです。
二次性高血圧は明確な原因があるため、適切な治療を選択することで血圧の改善・正常化が期待できます。
以下のような特徴がある場合は、二次性高血圧の可能性を疑ってより詳細な検査を受けるとよいでしょう。
- • 30歳未満で高血圧と診断された
- • 高血圧が急速に進行した
- • 降圧剤を飲んでも血圧がなかなか低下しない
- • 顕著な血圧上昇がある(III度高血圧の診断など)
- • 高血圧のほかに頭痛や動悸などの症状がある
高血圧の予防法5選

高血圧の大部分を占めている本態性高血圧は、生活習慣などに気を付けることで予防できます。「肥満体型やストレスに悩んでいる」「しょっぱい味付けが好き」など、高血圧につながる生活習慣がある方は、早めに高血圧の予防に取り組みましょう。
ここでは、忙しい方も日常に取り入れやすいやすい、高血圧の基本的な予防法を5つ紹介します。
適度な運動により適正体重を維持する
肥満や運動不足は高血圧の危険因子です。適度な運動により適正体重を維持することで高血圧を予防できます。
内臓脂肪が増えると、自律神経やホルモンの働きが乱れ、血管が収縮しやすくなります。また、体内の水分量や血液量が増えやすくなることもあり、これらが重なって血圧が上がりやすくなると考えられています。
また、肥満にともなう血糖値や血中脂質の異常は血管に負担をかけ、動脈硬化を進める要因となるため、高血圧のリスクを高めます。
まずは「エレベーターではなく階段を使う」「徒歩で移動する距離を増やす」など、身体を動かす習慣を身につけましょう。身体を動かすことに慣れてきたら、ウォーキングやジョギングといった運動も取り入れることもおすすめです。
睡眠の質と時間を確保しストレス解消を図る
ストレスが加わると、身体を活動状態にする交感神経が優位になって血圧が上昇します。慢性的なストレスは高血圧の危険因子であるため、ストレス解消に努めましょう。
ストレス解消の方法は「睡眠をしっかりとる」「ストレスの原因から離れる」「趣味などでリラックスできる時間をつくる」などが挙げられます。
特に睡眠は、身体をリラックス状態にする副交感神経を優位にして血圧を下げる働きがあります。仕事が忙しい人ほど、ストレス解消のために睡眠の質と時間を確保することが大切です。
喫煙・飲酒を控える
喫煙は血管を収縮させて血圧が上がるだけでなく、血流が悪くなり動脈硬化の原因にもなります。過度な飲酒も血圧上昇の原因です。
高血圧予防のために、喫煙・飲酒を控えましょう。
なお、飲酒は適度な量であれば血圧への悪影響が少ないことが分かっています。男性は純アルコール20g(ビールであれば中びん1本)、女性はその半分の量を目安にするとよいでしょう。
食事の塩分摂取量を減らす
塩分摂取量が増えると、体内の塩分濃度を下げるために水分を欲するようになります。そして飲み物を多く飲むことで血液量が増え、血圧が上昇します。
高血圧の予防には、食事からの塩分摂取量を減らす「減塩」が重要です。
厚生労働省が公開した「日本人の食事摂取基準」によると、成人における1日あたりのナトリウムの目標量(食塩相当量)は男性7.5g未満、女性6.5g未満です。
塩分はさまざまな食品に含まれているため、食事に含まれる塩分量をチェックして上手に減塩しましょう。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書」
人間ドックや健康診断を定期的に受ける
高血圧は自覚症状が出にくいため、人間ドックや健康診断を定期的に受診して、自分の血圧を把握することがおすすめです。精度の高い血圧測定により、自分の血圧が正常な範囲なのか、高血圧のリスクがどの程度あるかが分かります。
特に人間ドックは自覚症状がない病気を早期発見できることが魅力です。高血圧を含む生活習慣病のほかに、がん・脳血管疾患・心疾患といった命にかかわる病気のリスクも調べられます。
高血圧の改善方法3選

高血圧の治療は「運動療法」「食事療法」「薬物治療」の3つが基本です。
人間ドック・健康診断で高血圧や高値血圧などを指摘された方は、すぐに高血圧の改善に取り組みましょう。軽度の高血圧であれば、生活習慣を見直すだけでも改善が期待できます。
最後に、高血圧の3つの改善方法と期待できる効果を解説します。
参考:厚生労働省健康づくりサポートネット「高血圧症を改善するための運動」
有酸素運動を習慣づける
高血圧を改善するために、中程度の強度(ややきついと感じる・息がはずむ程度)の運動を、できれば毎日おこないましょう。運動には肥満を改善・防止するとともに、血管を広げて血圧を下げる効果があります。
高血圧の改善に効果的な運動は、ウォーキング・ジョギング・ランニング・スイミングといった有酸素運動です。1日30分以上、または1回あたり10分以上で1日40分以上の運動が推奨されています。
ただし、重度の高血圧(III度高血圧など)の方は、運動をすると心臓に過度の負担がかかるおそれがあります。高血圧治療としての運動は、かかりつけの医師と相談しながら実施しましょう。
減塩とミネラル摂取を意識し食生活を見直す
食事から摂取する塩分を減らし、血圧上昇を防ぐミネラルを意識して摂取することも、高血圧の改善に効果があります。
高血圧対策として意識したいミネラルは以下の3つです。
- • カリウム…余分なナトリウムの排出を促す
- • マグネシウム…血管拡張により血圧を下げる働きがある
- • カルシウム…血管の収縮・拡張に関与しており、不足すると血圧が上がる要因になる
カリウムとマグネシウムは、野菜・果物・海藻類・豆類に多く含まれています。カルシウムは、乳製品・小魚・豆類から摂取するとよいでしょう。
医師に処方された高血圧治療薬を服用する
高血圧の改善には、薬の服用も選択肢の1つです。高血圧治療薬は、主に以下の種類があります。
| 治療薬の種類 | 主な作用 |
| カルシウム拮抗薬 | カルシウムが細胞に取り込まれるのを防ぎ、血管を拡張させる。 |
| ARB | 血圧を上げる「アンジオテンシンII」というホルモンと受容体の結合を阻害する。 |
| ACE阻害薬 | アンジオテンシンIに作用するACE(アンジオテンシン変換酵素)を阻害し、アンジオテンシンIIを作られにくくする。 |
| レニン阻害薬 | アンジオテンシンIの産生にかかわる「レニン」という酵素の働きを阻害する。 |
| α遮断薬 | 血圧を上げる神経の働きを抑制し、血管を拡張させる。 |
| β遮断薬 | 血圧を上げる神経の働きを抑制し、心臓が送り出す血液量を減らしたり、血管の収縮を弱めたりする。 |
| 利尿薬 | 塩分と水分を排出する腎臓の働きを促進させる。 |
| 中枢性交感神経抑制薬 | 交感神経の働きを抑制し、末梢血管の収縮を抑える。 |
高血圧治療薬には副作用や使用禁忌もあります。必ず医師の診断を受けたうえで、処方された高血圧治療薬の用法用量を守って服用してください。
まとめ

高血圧を放置すると動脈硬化を起こし、脳卒中・心疾患・腎硬化症などの病気を発症するリスクが高まります。
高血圧の原因の多くは生活習慣が関係しています。高血圧の危険因子である肥満やストレス、塩分過多を避けるために、定期的な運動や食生活の見直し、喫煙・飲酒を控えるなどの対策をしましょう。
また、高血圧と診断された場合は医師と相談のうえ、生活習慣の見直しや薬の服用を検討し、改善に努めましょう。
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