個人事業主は健康診断をどこで受けるべき?費用や必要な検査項目なども解説
個人事業主として働いている方は、会社員のように健康診断を毎年受診する義務がなく、自主的に健康管理をする必要があります。
しかし、健康診断を受けたほうが良いと理解していても「どこへ行けばよいのか」「どんな検査を受ければよいのか」など迷ってしまい、おっくうに感じることもあるのではないでしょう。
そこでこの記事では、個人事業主の方が健康診断の受診先を選ぶポイントや、費用相場、必要な検査項目などについて解説していきます。健康診断を受けようと思いながら何年も経ってしまっている方や、健康診断の受診先選びに迷っている方は、ぜひ最後までお読みください。
個人事業主が健康診断を受けるべき理由
個人事業主における健康診断の受診は任意であるため、受診率が低い傾向にあります。
厚生労働省の報告によると、個人事業主は1,000人以上の組織所属者(会社員)と比べて、毎年健康診断を受けている方の割合が低く、さらに5年以上健康診断を受けていない方の割合も高いことがわかっています。
参考:厚生労働省ホームページ「個人事業主の健康確保の役割分担に関する考察」
しかし、個人事業主にとって定期的な健康診断の受診は非常に重要です。その理由は大きく3つあります。
- ・無収入になるリスクを避けるため
- ・健康状態を自己管理する必要があるため
- ・家族と変わらない生活を送り続けるため
無収入になるリスクを避けるため
個人事業主が健康診断を定期的に受けると、無収入になるリスクが減ります。
個人事業主には、企業に所属している方が受けられるような福利厚生制度がありません。そのため、病気やケガで仕事ができなくなった場合、即座に収入が途絶えてしまう可能性があるのです。
定期的に健康診断を受けることで、潜在的な健康問題を早期に発見し、適切なタイミングで治療を開始できる可能性が高まります。早期に治療を開始できれば、身体的負担の少ない方法を選ぶことができ、休業せず収入を維持することにもつながるでしょう。
健康状態を自己管理する必要があるため
個人事業主は、自身の健康状態を自己管理する必要があります。
会社員の場合、一般的には会社が社員の健康診断をスケジューリングし受診を促します。しかし、個人事業主にはそのような外部からの管理がありません。そのため、自身で動かなければ健康状態を把握できません。
自己管理の一環として健康診断を受けることで、自身の健康状態を客観的に把握し、問題を未然に防ぐことが可能です。また、健康診断の結果に基づいて生活習慣の改善や医療期間の受診をすることで、より適切な健康管理ができるでしょう。
家族と変わらない生活を送り続けるため
個人事業主が健康診断を通じて自身の健康状態を守ることは、家族の生活を守ることにもつながります。個人事業主が病気やけがで働けなくなり、収入が途絶えてしまうと、家族の生活に大きな支障が出る可能性があります。
定期的に健康診断を受け、健康管理を徹底することで、家族に対する経済的な責任を果たし続けることが可能になるでしょう。健康であり続けることは、家族との時間を大切にすることにつながります。個人事業主である本人だけでなく、家族の幸福にも大きく貢献できるのです。
健康診断は、自覚症状のない病気や体の異常に気づくきっかけになり、長く健康でいるための第一歩です。万が一病気を早期発見できず長期的な治療が必要になる可能性を考えれば、長期的に見て医療費の削減にもつながります。そのため、個人事業主の方も年に1回は健康診断を受けるようおすすめします。
個人事業主が健康診断を受ける方法
個人事業主が健康診断を受ける主な手段は、国民健康保険(自治体)が実施している健康診断を受診する場合と、自費で医療機関の健康診断を申し込む場合の2通りです。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
国民健康保険の特定検診・がん検診
国民健康保険に加入している個人事業主は、自治体が実施する特定検診やがん検診を利用できます。これらの健康診断は、日程や場所が事前に決められており、受診可能な人数にも制限があることが多いです。そのため、自身の仕事のスケジュールを調整して受診する必要があります。健康診断の実施時期が近づくと、自治体から自宅に案内が送付されたり、公式ホームページに情報が掲載されたりするので、それらを確認して申し込みします。
自費による健康診断・人間ドック
近隣の病院やクリニックで、自費による健康診断・人間ドックを受診することも可能です。国民健康保険の健康診断と異なり、自身の都合に合わせて日時を選択したり、希望するオプション検査を追加できたりします。自費での健康診断はより柔軟な対応が可能ですが、費用は全額自己負担となるため、予算を考慮して選択しましょう。
個人事業主の健康診断の受診先を選ぶポイント
個人事業主が健康診断を自費で受診する場合、以下のポイントに留意しながら受診先を選ぶと良いでしょう。
- ・個人の健康診断を受け付けている
- ・健康診断以外の診療科がある
- ・自宅や職場からアクセスが良い
- ・検査設備が充実している
- ・健康管理の総合的なサポート体制がある
健康診断の受診先を探すときにぜひ役立ててみてください。
個人の健康診断を受け付けている
健康診断を提供している医療機関をみつけたら、まず個人での受診が可能かどうか確認することが重要です。一部の医療機関では企業や団体の健康診断のみ受付している場合があるため、事前に確認しておきましょう。
受診科目として健康診断を提示している病院やクリニックを探し、個人(個人事業主もしくはフリーランスとして)の受診が可能かを問い合わせると良いです。個人事業主向けの健康診断を明確に提供している医療機関を選ぶことで、スムーズな受診が可能になります。
健康診断以外の診療科がある
健康診断の受診先を選ぶ際は、内科などの一般診療科を併設しているか、もしくは連携している医療機関を選ぶことが推奨されます。健康診断の結果、精密検査や治療が必要になった場合に、継続的なケアを受けられるからです。
また、健康診断を受けた医療機関をかかりつけにすることで、総合的な健康管理が可能になります。健康診断だけでなく、その後の検査・治療や日常的な相談を同じ場所で受けられることは、多忙な方にとって大きなメリットといえるでしょう。
自宅や職場からアクセスが良い
健康診断は年1回の定期的な受診が推奨されるため、アクセスの良さは重要な選択基準になります。通いやすい場所にある医療機関を選ぶことで、継続的な受診が容易になるでしょう。普段の移動が電車やバスなどの公共交通機関が中心の方は、駅やバス停からの距離も重視するのがおすすめです。同じ医療機関で定期的に健康診断を受けることで、医師が経年的な健康状態の変化を把握しやすくなり、小さな異常も見逃さずに対応できる可能性が高まります。
検査設備が充実している
検査設備が充実している医療機関を選ぶことで、より正確で詳細な健康状態の把握が可能になります。とくに高級人間ドックなどでは精度の高い検査機器を採用していることが多く、がんなどの重大な疾患の早期発見につながる可能性があります。また、マンモグラフィや骨密度検査装置など、特定の健康リスクに対応した専門機器が揃っている医療機関を選択すると、より包括的な健康チェックも可能です。
検査設備が充実していることは、精密な診断と早期治療につながり、個人事業主の健康管理に大きく貢献します。
健康管理の総合的なサポート体制がある
検査後のアフターフォローが充実している医療機関を選ぶことで、より効果的な健康診断が可能になります。健康診断は受診して結果を知るだけでなく、その後のフォローが重要です。専門の医療スタッフによる運動指導や栄養指導を受けられる医療機関では、検査結果に基づいた具体的な生活改善のアドバイスを得られます。
また、必要に応じて適切な専門医への紹介や継続的なモニタリングができる医療機関を選ぶことで、より長期的な健康維持につながります。
個人事業主の健康診断で必要な検査項目
個人事業主が医療機関で健康診断を受けるときは、一般健康診断の検査項目が含まれているか確かめましょう。
- ・問診(既往歴、業務歴など)
- ・自覚症状と他覚症状の検査
- ・身体測定(身長、体重、視力、腹囲)
- ・視力と聴力(1,000 4,000Hz)の検査
- ・胸部X線検査および喀痰検査
- ・血圧測定
- ・血液検査(貧血、肝機能、血中脂質、血糖など)検査
- ・尿検査(糖、蛋白)
- ・心電図検査
参考:厚生労働省ホームページ「一般健康診断の項目一覧表」
医療機関によっては、希望に応じて胃のバリウム検査やがん検査などのオプション項目を追加することも可能です。その分費用はかかりますが、自身の健康状態や年齢、家族歴などを考慮しながら検討することをおすすめします。
個人事業主が健康診断を受けるための費用相場
個人事業主が自費で健康診断を受ける場合の費用相場は、上述した一般健康診断の内容が最低限含まれているコースで8,000~12,000円程度です。さらに検査項目が多い人間ドックなどのコースの場合は、さらに費用が必要となるでしょう。
簡易健康診断などを3,000円代で受けられることもありますが、検査項目が限定的である点に注意が必要です。
個人事業主の健康診断の費用を抑える方法
自費の場合は高額になりやすい健康診断の費用ですが、個人事業主でも費用を抑えられる方法があればより気軽に受診できるでしょう。健康診断の費用を軽減する方法として以下をご紹介しますので、活用できるものがあるか確認してみましょう。
- ・協会けんぽの健康診断を受ける
- ・国民健康保険の健康診断を受ける
- ・自治体の補助金・助成金制度を活用する
国民健康保険の健康診断を受ける
国民健康保険に加入している個人事業主は、自治体の特定検診やがん検診を利用することで費用を抑えながら決められた検査を受けることが可能です。多くの自治体では、国民健康保険の加入者向けに、健康診断を無料で提供しています。気になる方は各自治体の公式ホームページで詳細な情報を確認してみましょう。
協会けんぽの健康診断を受ける
会社を退職した後に任意継続被保険者となった場合や、家族の扶養などで協会けんぽに加入している個人事業主は、年に1回補助制度を利用できる場合があります。協会けんぽが提携している医療機関で健康診断を受けることで、通常よりも低コストで受診することが可能です。
自治体の補助金・助成金制度を活用する
国民健康保険に加入していると、自治体から健康診断もしくは人間ドックの助成金を受けられる場合があります。しかし、この制度には受診先が限定されていたり、特定検診を受けていない人のみが対象だったりするなど、さまざまな条件が設けられていることが多くあります。自身が対象となるかを事前に確認するとよいでしょう。
まとめ
この記事では、個人事業主が健康診断の受診先を選ぶポイントについて解説しました。
個人事業主は健康診断の受診率が低い傾向にありますが、無収入となるリスクを回避したり、長期的な健康管理をしたりするためには、定期的に受診すべきです。
個人事業主が健康診断を受ける方法は、国民健康保険の特定健診を受けるか、自費で医療機関に申し込むかの2通りになります。受診先を選ぶときは、個人の健康診断についての受付可否や、健康診断以外の診療科の有無、アクセスの良さ、精密検査や治療が必要となった場合のフォロー体制などを確認のうえ総合的に判断しましょう。
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