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法人保険のメリットや種類、保険加入にあたっての注意点などについて徹底解説 

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法人保険とは、法人の経営者や役員を被保険者として法人が契約するために作られた生命保険を指します。個人向けの生命保険とは違って、経営者や従業員に対する死亡保障や福利厚生、節税対策など様々な目的で加入します。ちなみに個人向けの生命保険の契約者を法人にして加入する場合も、法人保険と呼びます。

法人保険のメリット

法人保険への加入のメリットは単純に保険金を受け取るだけにとどまりません。法人ならではの様々なメリットが享受できる法人保険は加入する目的も企業によって異なります。

事業リスクに備えられる

中小企業やオーナー企業の場合、取引先との人脈や会社の利益が経営者に依存していることも珍しくありません。この場合、経営者に万が一のことがあったときに取引先との関係が破綻したり、銀行融資の打ち切りなどによって会社の事業が立ち行かなる可能性があります。

このような事業リスクに備えて法人保険を活用する事例はたくさんあります。経営者に万が一の事態が起こった際に1億円程度の保険金を受け取ることができれば、会社を立て直す時間を稼ぐことができます。取引先との関係構築や後継者の選定などに余裕を持って取り組み、事業の存続を図ることができます。

事業承継時の負担を軽減できる

事業承継とは経営者が後継者に会社の経営権や資産などを承継するプロセスを指します。事業承継の際には会社の自社株などの資産価値に応じて、後継者に相続税や贈与税の支払い義務が生じます。事業承継の際の税負担は意外と大きく、税負担を理由に事業承継を躊躇してしまう事例もあります。

しかし、法人保険に加入することで経営者の死亡時に受け取る死亡保険金は、事業承継時に発生する高額な相続税を支払うための資金としても活用が可能です。

退職金として活用できる

法人保険の解約返戻金を役員や従業員の退職金の支払いに充当することができます。保険商品によっては数千万円の解約返戻金が得られる場合があるので、役員・従業員の退職金を支払うための資金にすることができます。

法人保険の種類

法人保険には多くの種類が用意されており、それぞれ保障内容や保険料が異なります。加入する目的を明確にし、目的に応じた商品に加入しましょう。

定期保険

定期保険とは契約時に決められた保険期間中に一定の事象が起きると保険金が受け取れる保険です。保険料は掛け捨てであり、法人保険の場合は「長期平準定期保険」と「逓増定期保険」の2種類があります。

「長期平準定期保険」は通常の平準定期保険よりも保険期間が長いことが特徴です。

定期保険のように保険料負担を抑えながら、終身保険のような長期保障が得られるため、経営者に万が一のことが起こった際や、会社が危機に陥った時のために資金準備を行うことができます。また、保険期間は一般的に満了が90歳代後半~100歳となる商品が多く、保険会社によっては非喫煙割引を付加できるタイプ、一定期間は低解約返戻金となるタイプ、一定期間に限り災害死亡のみを保障するタイプ、ドル建て等の外貨建てタイプ等、とさまざまな種類が取扱われています。

「逓増定期保険」とは契約から年数が経過するごとに死亡保障額が増加していく保険で、経営者が被保険者となります。経営者の場合は会社の成長とともに増えていくということと、保険金が年々増える形にすることで、定期保険にもかかわらず将来、多額の解約返戻金を受け取ることができるというメリットがあります。万一、オーナー企業の経営者が死亡した場合の事業資金等の確保という側面もありますが、一定時期まで解約返戻金が増えていくという仕組みを利用した、経営者の退職金の準備などに利用されています。

養老保険

養老保険とは保険期間中に被保険者が死亡・高度障害状態になったときには死亡保険金を、保険期間中に亡くなることなく満期を迎えた場合は満期保険金を受け取れる保険です。養老保険の死亡保険金と満期保険金は同額なので、被保険者である役員・従業員が万一死亡した場合も、満期を迎えた場合も保険金を受け取ることができるので、貯蓄性の高い保険です。

また、従業員の福利厚生を目的として企業が養老保険に加入する場合は、支払った保険料の1/2を損金へ算入可能です。

医療保険

医療保険は、保障内容は個人向けで加入する保険とほとんど同じで、病気やケガで入院・手術した場合などに給付金が支払われる保険です。

役員や従業員が病気やケガで入院や手術を受けた場合に給付金を経営資金として充てたり、見舞金として支給したりすることができます。また、企業が保険料を支払い、役員が退職したときに、契約者の名義を個人に変更することで、医療保険の契約を退職金代わりに譲渡するのも活用方法のひとつです。

終身保険

終身保険は解約しない限り被保険者が死亡するまで一生涯にわたって保険期間が継続する生命保険です。退職金の準備や事業承継などに役立てることができます。

また、終身保険の保険料は、全額が資産として計上されます。

法人保険に加入するときの注意点

法人保険に加入するときは、「経営者の万一のリスクに備える」とか、「役員・従業員の退職金を準備する」など、法人保険に加入する目的を明確にすることが大切です。それにあたり、注意点として代表的なものを2点ご紹介します。

1点目は節税だけを加入目的にしないことです。

法人保険の種類によっては、保険料の一部または全部を損金に算入できます。しかし法人税の負担を軽減するためだけに、法人保険に加入するのはおすすめできません。

「解約返戻金を役職員の退職金に充てる」といったような法人保険の加入目的をきちんと考えたうえで、企業の利益をコントロールするのも、活用方法の1つです。一方で企業の利益によっては、納税して内部留保を厚くした方が、安定的に経営できる可能性もあります。

また、2019年(令和元年)6月に公表された「法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」により、一部の法人保険の経費処理ルールが変更されたため、節税目的だけで法人保険に加入するのは事実上難しくなりました。

2点目は福利厚生規定や退職金規定を作成することです。

法人保険に加入する際には、企業として福利厚生規定や退職金規定を作成しておきましょう。

例えば、役員・従業員の福利厚生目的で養老保険に加入する場合、福利厚生規定を作成していない場合、保険料の損金算入が認められない可能性があります。

また、法人保険の解約返戻金を、役員・従業員の退職金に充てる場合も、退職金が適切なタイミングで支給されたことを証明するためにも、退職金規定の作成は重要となってきます。

 

法人保険には「経営者の万一のリスクに備える」「事業承継対策をする」「従業員の福利厚生を充実させる」などさまざまな活用方法があります。

加入目的をきちんと検討したうえで、法人保険に加入すると、経営におけるさまざまなリスクに対処でき、企業のさらなる発展につながるでしょう。

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