がん検診の2種類「対策型検診」と「任意型検診」|内容・費用や人間ドックとの違い
人間ドック 検査傷みなどの自覚症状を感じにくい「がん」は、生活習慣病と同じく早期発見が重要な病気の代表格です。そのためがんに特化した「がん検診」が国を挙げて推奨されるなど、老後も生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を高水準に保つためには重要なポイントと考えられています。
がん検診には「対策型がん検診」と「任意型がん検診」の2種類があり、検査方法や仕組みそのものが異なります。今回は両者の特徴について解説します。
対策型がん検診の特徴
対策型がん検診とは、厚生労働省が「検診の効果が科学的に証明されている」としており、公共施策として導入されている検診のことです。がん検診のメリット・デメリットを考慮したうえで「科学的根拠が認められた方法」で市区町村が行うことが推奨されています。
対策型がん検診の目的は「集団全体の死亡率の減少」であるため、公的補助の対象であり比較的安価で受けられる市区町村が実施する住民健診で受診することが可能です。ただし、対策型がん検診で受けられる検診は、検診の効果が科学的に証明されている胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの5つに限られます。その検査方法も限定されており、受診間隔や対象者も決められています。
■胃がん検診
対策型検診 | |
検診対象者 | 50歳以上の男女 |
受診間隔 | 2年に1度 |
検査方法 | 問診+胃部X線検査(バリウム検査)or 胃内視鏡検査 |
■大腸がん検診
対策型検診 | |
検診対象者 | 40歳以上の男女 |
受診間隔 | 1年に1度 |
検査方法 | 問診+便潜血検査 |
■肺がん検診
対策型検診 | |
検診対象者 | 40歳以上の男女 |
受診間隔 | 1年に1度 |
検査方法 | 問診+胸部X線検査+喀痰細胞診検査 |
■乳がん検診
対策型検診 | |
検診対象者 | 40歳以上の女性 |
受診間隔 | 2年に1度 |
検査方法 | 問診+乳房X線検査(マンモグラフィ) |
■子宮頸がん検診
対策型検診 | |
検診対象者 | 20歳以上の女性 |
受診間隔 | 2年に1度 |
検査方法 | 問診+視診+子宮頸部の細胞診 or 内診(必要に応じてコルポスコープ検査) |
※出典:東京都福祉保健局 健康ステーション「対策型がん検診と任意型がん検診」
対策型がん検診は、特定の検診施設や検診車による「集団方式」と「個別方式」の2種類があります。従来は集団方式が主流でしたが、地域のかかりつけ医を主体とする個別方式に移行しつつあります。
任意型がん検診(人間ドック型)の特徴
任意型がん検診は「対策型がん検診以外のがん検診」を指します。「対象者が限定されない」ことが対策型がん検診との大きな違いといえるでしょう。実施する機関も市区町村ではなく医療機関であり、さまざまな検査方法が任意で提供されています。それぞれの違いを以下でまとめたので確認してみましょう。
■対策型がん検診と任意型がん検診の違い
任意型がん検診 | 対策型がん検診 | |
目的 | 集団全体の死亡率低下 | 個人の死亡リスク低下 |
概要 | 公共医療サービス | 任意で提供される医療サービス |
検診する主体 | 住民健診 | 人間ドック(がんオプション)
がんスクリーニング検査 |
費用 | 無料もしくは一部負担 | 全額自己負担 |
検診の対象者 | 規定されている年齢、性別の集団構成する人員 | 無症状である人全員
※診療対象の人は該当しない |
検診方法 | 検診による死亡率減少効果が確立されている | 科学的根拠が立証されていない検査もある |
※出典:国立がん研究センター がん対策研究所「対策型検診と任意型検診」
がん検診のメリット・デメリットを理解して受診を決めましょう
がん検診にはがんを見逃してしまうリスクである「偽陰性」のほか、精密検査を行ってもがんが発見されない「偽陽性」、生命を脅かさない程度のがんを発見する「過剰診断」といったデメリットも存在します。
一方、がんは早期発見・早期治療で治療できるケースが高まります。その有効な方法ががん検診であるため、上記のデメリットもしっかりと理解したうえでがん検診の受診を決めましょう。