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人間ドックは医療費控除となるのか?分かりやすく解説

人間ドックは医療費控除となるのか?分かりやすく解説

どんな病気も、治癒率を上げるには早期発見が何よりも重要な一歩となります。そのためには、積極的に検査を受けて健康管理をすることが大切です。

人間ドックは全身状態をより詳しく検査することができ、健康診断よりも早期発見に適した検査であるといえます。しかし、他の検査と比べると費用負担が大きいというデメリットがあり、人間ドックの必要性について疑問を持たれている方もいるのではないでしょうか。

この記事では人間ドックとは何か、検査の必要性について解説します。そして受検した際は、医療費控除として申請は可能であるか、費用負担を軽減するためにできることなど費用面に関する内容も含めてご紹介します。

人間ドックについて

人間ドックについて

まずは人間ドックの特徴や健康診断の違いについて解説します。

人間ドックと健康診断はどう違うのか

人間ドックと健康診断は、どちらの検査も全身状態を精査し身体に異常がないか、病気を早期発見し予防する検査です。目的や実施内容が類似しているため、健康診断を受けている場合は人間ドックまで受ける必要がないと思われている方も多くいます。

しかし、2つの検査を比較してみると、実際は検査項目や診断の流れに至るまで概要は大きく異なります。具体的に何がどのように違うのか、人間ドックと健康診断の特徴について項目ごとに解説します。

人間ドックの特徴

目的

あらゆる病気の早期発見をすると共に検査結果を基に生活習慣や食習慣を見直し、健康維持を目的とします。

検査項目(数や種類)

約50〜100項目の検査項目があります。非常に豊富な検査内容で全身を詳しく精査することが可能です。

全ての検査項目を実施するのではなく、自分で必要な項目や知りたい項目を選択し、不要なものは排除して検査を受けることが可能です。何を選べば良いか分からないという方は、医療機関によっては検査項目を目的別にセット化しているプランもあるのでその時々の状況に応じた検査を受けることができます。

費用

自由診療扱いであるため、自己負担額として約4〜10万円要します。各プランやオプションの追加、医療機関によっても費用負担が異なるので受検前に確認しましょう。

検査結果の説明

検査結果について直接医師から説明や指導を受けることができます。健康状態に不安がある場合や何かしらの不調がある場合も、その場で医師に相談することが可能です。

健康診断の特徴

目的

健康診断は会社員の場合、労働安全衛生法という法律に基づき、年に1度の受診が義務付けられています。つまり、会社側が労働者の健康状態を把握することを目的としています。

検査項目

検査項目は、身体計測や血液検査、胸部X線、尿検査、心電図検査、視力検査など約10〜15項目の検査を実施します。全身の状態を浅く広く検査をするので、仮に異常所見があったとしても、どこが異常であるのか詳細を判別しにくいというデメリットがあります。

費用

原則無料で実施します。健康保険適用外ですが雇用されている場合は会社負担となるため、自己負担額はありません。

検査結果の説明

結果は後日、郵送で送られます。個別で医師との面談は基本的にはありません。

このように、健康診断と人間ドックは一見すると大きな違いはないように思えますが、実際は目的や対象項目、検査後のアフターフォローに至るまで、それぞれ内容が大きく異なります。健康診断は最低限の検査項目で全身状態を把握するのに対して人間ドックはより詳しく全身の精査をおこなうことができます。身体の異常の早期発見には非常に適した検査であるといえます。

人間ドックはいつから受けるべきか

人間ドックは希望すればいつでも検査を受けることが可能です。個人の判断で受検となるので検査を受けることは義務ではありません。

基本的には20代から実施可能であり、推奨年齢としては30代から受検するのが望ましいとされています。その理由として、30代は早い人では生活習慣病を発症する年齢であり、女性の場合は乳がんや子宮頸がんなどの病気の発症リスクが高まる時期でもあります。特に乳がんや子宮頸がんは発症すると進行が早い病気でもあるため、できるだけ早期的に発見し治療することが必要となります。

リスク因子が少なく年齢的にもまだ若年である場合は、毎年人間ドックを受検する必要はないですが、病気の発症のリスク因子が増えてくる最初の時期に一度全身状態をチェックする機会を作ることも大切です。健康状態を把握することは将来的な病気の予防に繋がります。

人間ドックの必要性とは

人間ドックの受検は義務ではないので、受検するか否かは個人の判断となります。受検の推奨年齢が定められているものの、検査を受けるにあたり最も重要なことは年齢に捉われず、自身の状況に応じて検査が必要かを検討することです。

例えば、不規則な生活が続き急速に体重が増加したという身体の変化を感じた場合や飲酒や喫煙の機会が多い人、血縁者にがん疾患や糖尿病など生活習慣を患った人がいるといった状況に置かれている人は病気の発症リスクは通常に比べて高いといえます。できるだけ積極的に検査を受けて早期発見と予防に努めましょう。

人間ドックは医療費控除できるのか

人間ドックは医療費控除できるのか

人間ドックは自由診療であり検査費用の負担額は通常の検査と違い高額となります。非常に有益な検査であるものの費用面に対する不安から受検を迷っている方もいるのではないでしょうか。この項目では人間ドックの医療費控除に関する内容についてご紹介します。

医療費控除とは

医療費控除とは本人または家族内で1年間に支払った医療費が基準額を超えた場合、税務署に確定申告をすると超過支払となった分の医療費が課税対象の所得から控除され、税金の一部が還付される制度のことをいいます。
具体的には一年間の医療費の支払い金額の合計が10万円以上である場合が条件です。確定申告で医療費控除を申請して税務署が受理した場合、住民税や所得税の控除を受けることができます。

医療費控除対象外となる場合

人間ドックの医療費控除に関して国税庁は、基本的に人間ドックは病気の治療を伴うものではないため検査費用は医療費控除の対象とならないと示しています。医療費控除の対象となるか否かは、検査などによる予防的行動は全て対象外であり、治療を受けたかどうかが必須項目となります。

医療費控除の対象となる場合

人間ドックの費用は通常は医療費控除対象外となっていますが、国税庁は「検査を受けた結果、重大な病気が発覚し治療に至った場合は医療費控除の対象となることもある」としています。この場合の重要な病気とは厳密には指定されていませんが、主に以下の病気が該当するといわれています。

  • ●脳血管疾患(脳梗塞や脳出血)
  • ●心疾患(狭心症、心筋梗塞)
  • ●がん疾患
  • ●生活習慣病(糖尿病、脂質異常症)
  • ●高血圧

対象となる病気のなかでも高血圧や脂質異常症が、なぜ重要な病気の対象になるかというと、悪化している状態が長期化すると最終的に生活習慣病を発症するリスクが非常に高くなるからです。この場合は病気の発生を予測できるという考えから重要な病気の対象疾患として扱われます。

注意しておきたいポイントとしては、人間ドックの検査結果で病気の診断があったとしてもその後、治療を受けなければ医療費控除の対象となりません。診断のみの場合は治療的行為を受けていないことになるので医療費控除の対象外となることもあります。

例えば人間ドックを受検した結果、糖尿病と診断された場合、治療を受けて血糖値のコントロールをおこなう必要があります。そのため後日、内科で診察を受けて薬剤の処方をしてもらったという場合は、継続して治療をおこなっているので医療費控除として申請をすることが可能となります。

また、治療を受けたとしても重大な病気かどうかの最終的な判定は税務署がおこないます。治療を受けていたとしても必ずしも医療費控除の対象となるとは限らないということも理解しておきましょう。

人間ドックの助成制度はあるか

人間ドックの助成制度はあるか

人間ドックは医療費控除になる場合とならない場合の2パターンあることが分かりましたが、自己負担額を軽減するために受けられる助成制度はあるのでしょうか。この項目では自己負担額を軽減するために活用できる助成制度について解説します。

セルフメディケーション税は対象外である

人間ドックと関連性が強い税制度として「セルフメディケーション税」というものがあります。セルフメディケーション税とは、病気の予防や健康維持のために一定の取り組みをおこなっている人が、市販薬を12,000円以上購入した場合に購入費用の一部が所得から控除される制度のことです。

人間ドックの費用そのものを減額できる制度ではありません。しかし、健康維持のために市販の医薬品を規定額以上購入していて税制度を活用したい場合は、人間ドックや健康診断などの取り組みの有無が必須条件となります。

このような背景があることから、セルフメディケーション税は人間ドックの費用負担の減額にも役立つと誤った認識をされることが多く、混同されやすい要因となっています。あくまでも人間ドックの費用負担は自己負担であり、セルフメディケーション税の対象とはならないものの、セルフメディケーション税が定める健康維持のための一定の取り組みとして人間ドックの受検は非常に重要な取り組みであるということを認識しておきましょう。

各状況によっては助成を受けることができる

社会保険

会社員の場合は会社で加入している健康保険のなかでも人間ドックの補助制度を導入しているところもあります。健康保険だけではなく、福利厚生の一環としても健康管理における補助的役割として会社が検査の費用負担を担ってくれる場合もあります。まずは所属する会社に確認してみましょう。

国民健康保険加入者

国民健康保険に加入している場合、自治体によっては人間ドックの検査費用の補助金や助成制度を受けることができます。助成費用は居住区域によっても差が大きいので、まずは自身が住んでいる自治体に人間ドックで活用できる補助または助成制度はないか問い合わせてみましょう。

民間保険加入者

個人的に各企業の医療保険や生命保険に加入している場合、契約しているサービスによっては人間ドックの費用を割引できるものがあります。契約中のサービス内容を見直すまたは、担当のライフプランナーに相談してみましょう。

人間ドックの自己負担額を減額する方法

人間ドックの自己負担額を減額する方法

人間ドックは検査項目が豊富であり、より詳しく身体の状態を精査することができるので異常の早期発見に適しています。しかしコスト面を考えると、自己負担額が高額となることから受検を迷う方もいるのではないでしょうか。この項目では公的な助成制度とは別に、人間ドックの自己負担額を減額できるためにはどうすれば良いかという点について解説します。

健康診断と併用して受検する

人間ドックの検査項目は自分で選択して希望する検査だけを受けることが可能です。例えば毎年健康診断を受けている場合、基本的な検査データ(胸部X線や呼吸機能検査など)は明確となっているので重複して検査を受ける必要はありません。検査した時期と人間ドックを受けている時期の差によっても異なりますが、明らかに大きな身体の変化や不調がない限り、人間ドックの検査項目を選ぶ際に、重複項目は排除して必要な項目だけを選択して受検するという方法もおすすめです。

受診する医療機関やプランによっても異なりますが、用意されている検査全てを受けようとすると費用負担は大きくなります。少しでも費用負担を減らしつつ、より詳しい身体の状態を把握するためには人間ドックでしか受けることのできない精密な検査項目を目安とし選択してみてはいかがでしょうか。

リスク因子に応じた項目を選択して受検する

人間ドックの検査項目を選択する際のもう一つのポイントとして、病気の発症リスク因子に対象を絞って検査を受けてみましょう。例えば血縁者にがん疾患や生活習慣病の人がいる場合、関連する画像診断や腫瘍マーカーを受けるといった形で自身にとってその検査項目が必要かそうでないかを考慮して選択しましょう。

また病気の発症リスクは年代や性別によっても異なります。30代からは生活習慣病のリスク、40代からは心疾患や脳血管疾患、がん疾患の発症リスクが高まります。定期的に人間ドックを受ける場合は各年代の発症リスクに応じた検査も選択すると良いでしょう。

まとめ

毎年、健康診断を受けているから大丈夫と思われている方が多いですが健康診断だけでは重要な病気の早期発見は難しいのが現状です。人間ドックは自己負担額が通常の検査と比べて高額になりますが検査の精度は非常に高く、病気を早期発見し予防するためには欠かせない検査であるといえます。

医療費控除は基本的に対象外となりますが、場合によっては対象となること、他の社会資源によっては費用負担を減らせることもあります。積極的にあらゆる制度を活用し、より効率的かつ的確に必要項目を選択し、受検に臨んでみましょう。

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