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乳がん検診とは?費用や検査方法など解説

乳がん検診とは?費用や検査方法など解説

乳がんは日本人女性がかかるがんの中で最も多いがんであり、2019年には罹患者数が97,000人を超えたという報道もされています。通常は高齢になるほどがんの罹患率が高くなってきますが、乳がんにかかりやすいのは40〜50歳代が多く、家庭でも社会でも活躍中の世代になります。

しかしながら、乳がん検診は検査時の痛みや恥ずかしさから、検査に行くのはおっくうだと感じる人がいらっしゃいます。早期の乳がんは自覚症状が少ないものの、転移がんになると5年生存率は40%を切ってしまうため、検診で早期発見・早期治療することが大切です。

今回は乳がん検診について、費用や検査方法などを分かりやすく解説いたします。少しでも乳がん検診に興味を持って頂ければ幸いです。ぜひ最後までご覧ください。

乳がん検診の基本情報

乳がん検診の基本情報

乳がん検診は住まいのある自治体・職場の健康診断・人間ドッグをおこなっている医療機関などで受けることが可能です。乳がん検診について目的や受診間隔などの基本情報を解説いたします。

乳がん検診の目的

乳がん検診の目的は、検診によってがんの早期発見・早期治療をおこない、乳がんによる死亡率を減らすことにあります。

乳がんの5年生存率はステージⅠで98.9%、ステージⅡでも94.6%と非常に高く、早期発見できれば治療成績が良好ながんといえます。早期発見ができると、死亡率が減少するだけではなく、乳房温存治療が選択できる・治療期間が短く済む・治療にかかる費用が少なく済むなどのメリットもあります。

乳がん検診の受診間隔

乳がんは35歳を過ぎると罹患率が急上昇するため厚生労働省の指針では、40歳を超えたら2年に1回は乳がん検診を受けることを推奨しています。

ごく初期の乳がんは自覚症状がほとんどありません。乳がん細胞は生育が比較的緩やかで、1年で約2倍の大きさになるといわれています。目に見えないほどの小さながん細胞が、約1cmのしこりになって触れるようになるまで、約10年かかるといわれているのです。

しかし乳がんの中には進行速度の早いタイプのものもあるため、乳房のしこりやくぼみ、乳輪のただれなどに気が付いた場合は、検診を待たずに医師の診察をうけるようにしましょう。

乳がん検診を受診できる人

厚生労働省の指針において乳がん検診が推奨されているのは、乳房の自覚症状のない40歳以上の女性です。

40歳未満の若年層の人でも家族に乳がんの既往歴のある人がいれば、乳がん検診の受診を検討しましょう。検診を受けることでがんやがん以外の病気が見つけられるメリットがありますが、偽陰性や過剰診断などもあることは理解しておくと良いでしょう。

乳がん検診の検査方法

乳がん検診の検査方法

乳がん検診の検査方法には問診・マンモグラフィ・超音波検査・視触診があります。ひとつずつ詳しくみていきましょう。

問診

問診は、乳がんに罹患するリスクがどのくらいあるかを確認するためにおこなわれます。以下の内容について質問があるため、検診前に整理しておくと安心です。

  • ・今までにかかったことのある病気
  • ・月経周期
  • ・初潮・閉経の年齢
  • ・これまでの妊娠歴や出産歴
  • ・親族に乳がんの既往歴のある人がいるかどうか
  • ・喫煙歴
  • ・ピルの服用歴

マンモグラフィ

マンモグラフィとは乳房専用のX線検査のことで、厚生労働省の指針で推奨されている検査方法です。視触診では分からない病変や、しこりになる前の石灰化を発見できます。石灰化した部分のすべてが乳がんになるわけではありませんが、一部の石灰化はがんの初期症状である可能性があるため、発見することは大切です。

マンモグラフィの検査方法は、乳腺の重なりを防ぐために、2枚の板で乳房をできるだけ薄く延ばして撮影します。マンモグラフィの画像では病変や石灰化部分が白く映りますが、乳腺も白く映ってしまいます。閉経前の女性では乳腺濃度が高く、全体的に白っぽく映ってしまい、病変が見つかりにくいこともあり注意が必要です。

マンモグラフィ機器は、従来型ですと2D撮影しかできないため、乳腺が密集している部分の病変が分かりにくいという問題点がありました。最近はセントラルメディカルクラブ世田谷でも採用している3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)が登場し、立体的で精密な撮影が可能となりました。1mm間隔でスライスした断面画像で乳房を立体的に確認できるようになり、より正確な診断結果が得られるようになっています。

超音波(エコー)

超音波(エコー)検査とは、超音波の機械を乳房に当てて、反射して返ってくる信号を画像として映し出す検査です。特に40歳未満の若年層の乳がん検診に適しているとされています。

超音波検査では、乳腺は白く、病変部位は黒く映し出されます。乳腺濃度が高い人でも病変が発見しやすいメリットがあります。またX線を用いないので妊娠中でも検査可能です。しかしマンモグラフィと異なり、石灰化した部分は映りにくいことがあります。

従来の超音波検査では、乳房組織を的確かつはっきりと映し出すために検査技師の撮影スキルが必要でしたが、最近登場した先端機器のABUS(乳房用超音波画像診断装置)では簡単な操作で、検査技師のスキルに左右されることのない乳房の超音波撮影が可能となっています。

視触診

視触診では医師が乳房に触れて観察し、以下のような異常がないかを確認します。

  • ・しこりの有無
  • ・乳房の皮膚の異常
  • ・乳頭からの分泌物
  • ・わきの下のリンパ節の腫れ

2016年に厚生労働省から、乳房の視触診単独検査は乳がん早期発見のための有用性が不明であり推奨しないとの見解が示されました。そのため乳がん検診において、視触診は現在単独で行われることはなく、マンモグラフィと並行して行われるケースがほとんどです。医療機関によっては視触診そのものをおこなわないところもあります。

乳がん検診にかかる費用

乳がん検診にかかる費用

乳がん検診の費用は、受診方法によって費用が異なります。

自治体の検診を利用する場合

自治体で検診費用の負担があるため、少額の自己負担で乳がん検診が受けられます。自治体で受けられる乳がん検診の種類はマンモグラフィです。

自治体ごとで費用は変わりますが、自己負担は4,000〜7,000円程度のところが多いです。自治体の検診では、乳がん検診を受診できる年齢が決まっているため、確認してから申し込みましょう。

また会社で行われる健康診断に乳がん検診を追加して行うこともできます。お勤め先やご家族が加入している健康保険組合の制度を確認すると安心です。組合によって費用は異なりますが、数千円程度の自己負担で受けられます。

自費の場合

自治体や職場の乳がん検診が、年齢や条件で受けられない場合は自費で受診することができます。マンモグラフィまたは超音波検査のどちらか一方であれば費用はクリニックによって異なりますが7,000〜18,000円です。

マンモグラフィと超音波検査の両方とも行うと、平均15,000~30,000円ほどの費用になります。検査費用のほかに初診料・再診料が加わることもあるため、乳がん検診を受診する医療機関で先に確認しておきましょう。

保険適用の場合

乳房に何らかの症状があり、医師から検査が必要と認められた場合は、乳がん検診が保険を利用して受診できます。自費の3割の費用で受診可能です。

乳がん検診でよくある質問

乳がん検診でよくある質問

乳がん検診でよくある質問事項をまとめました。検診を受ける医療機関で内容が異なる点もあるため、検診前に疑問を解消しておきましょう。

マンモグラフィ検査と超音波検査(エコー)の違いは何ですか?

マンモグラフィは乳房専用のX線を用いた検査で、超音波検査は超音波の機械を乳房に当てて、反射してくる信号を画像化したものです。それぞれのメリット・デメリットは下表の通りになります。

マンモグラフィ 超音波
メリット ・検診の継続受診によって、乳がん死亡率の減少が統計学的に証明されている
・石灰化や乳房の全体像を捉えやすい
・撮影方法が定められているため、過去の画像と比較しやすい
・被ばくがない
・妊娠中でも実施可能
・乳腺が発達している人や若年者(40歳以下)でも痛みがなく検査できる
・小さなしこりを見つけやすい
・しこりの性状を診断しやすい
デメリット ・痛みを伴うことがある
・年齢や乳腺量によっては、詳細な診断ができないことがある
・妊娠中や妊娠の可能性があるときは検査できない
・豊胸手術を受けた人やペースメーカーを入れている人は受診できない可能性がある
・石灰化している部分が描出しにくい
・がん以外の良性腫瘍も見つかりやすく、再検査になる確率が高くなる
・検査技師の撮影スキルに頼る部分が大きい
・検診の有効性がまだ確立されていない

乳がん検診にかかる時間はどのくらいですか?

乳がん検診は次のような流れで進んでいきます。

  1. 1.問診表の記入
  2. 2.着替え
  3. 3.検査
  4. 4.診察・結果説明

それぞれにかかる時間の目安は以下の通りです。

  • ・問診表の記入:約15分
  • ・マンモグラフィ+着替え:15~20分
  • ・超音波検査+着替え:20~30分

乳がん検診の検査結果はたいていの場合、後日郵送または対面説明が行われます。当日中に検査結果を聞いてから帰宅する場合は、合計2時間ほど見ておくと良いでしょう。

授乳中でも乳がん検診を受けられますか?

授乳中は乳腺濃度が高く、病変部位が映し出しにくいため、乳がん検診の正しい検査結果が得られない可能性が高くなります。授乳中または断乳後半年以内は乳がん検診を避けた方が良いでしょう。ただし乳房のしこりや乳輪のただれなど、自覚症状が見られる場合は乳腺外科で診察を受けるようにしてください。

また以下の人はマンモグラフィを受けられない可能性があります。超音波検査を利用するなど、受診前に検診機関へ確認すると安心です。

  • ・妊娠中または妊娠の可能性がある人
  • ・豊胸手術を受けた人
  • ・水頭症シャント術を受けた人
  • ・ペースメーカーを装着している人

超音波検査で写真を何枚も撮影するのはなぜですか?

超音波検査で何枚も写真を撮影されたり時間がかかったりすると、「異常があるのではないか」と不安になる人もいらっしゃるのではないでしょうか。

超音波検査では、検査技師が画像の撮影をして、得られた画像から医師が診断を行うのが一般的です。
検査技師がさまざまな角度から乳房の撮影を行い、医師が分析しやすいようにしているため、撮影枚数が多かったり検査時間が長かったりするのです。

超音波検査で写真を撮られたり検査時間がかかったりしても、通常の検査方法であることがほとんどなので過度に不安を感じないようにしましょう。

乳がん検診で精密検査と言われた場合はどうしたら良いですか?

マンモグラフィや超音波検査の結果で、再検査の指示が出たら必ず精密検査を受けましょう。乳腺外科や乳腺外来など乳腺専門の診療科がある医療機関を受診すると良いです。精密検査には、マンモグラフィや超音波検査の追加撮影、細胞診、組織診があります。

細胞診

細胞診とは、乳房の病変部分に細い針を刺して、その部分の細胞を採取する検査です。麻酔をかけずに行われるため、体への負担が少なく簡便に行えます。
細胞診で鑑別が難しかったり、悪性の可能性が高かったりする場合は、より多くの情報が得られる組織診に進みます。

組織診

組織診とは、細胞診よりも太い針を用いて、超音波などで確認しながら乳房の病変部分の組織を採取する検査です。局所麻酔をかけて行います。
細胞診より多くの組織を採取できるため、乳がんの確定診断で用いられることが多いです。

まとめ

乳がん検診で早期発見・早期治療

乳がんは日本人女性がかかるがんで最も多く、罹患率が高いのは仕事や家庭で奮闘中の40~50歳代の女性になります。乳がん検診で早期発見・早期治療ができれば、5年生存率は90%を超えていて治療成績は良好です。

乳がん検診の画像診断にはマンモグラフィと超音波検査があります。それぞれ得意・不得意があるため、両方を組み合わせて検査精度を高めるのもひとつの手です。

画像診断の検査機器は、従来型だと病変部位を鮮明に描出するのが難しいことがあり、先端の検査機器を導入しているかどうかも、乳がん検診の恩恵を受ける重要なポイントとなります。

セントラルメディカルクラブ世田谷では先端の検査機器を導入し、経験豊かな画像診断医がいることで高いレベルの検査と精密な診断が行えるようにしております。大切な会員の皆様の健康を守るために、ステージ0での発見を目指していますので、当院の乳がん検診をぜひご活用ください。

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